2005.03.16
2005.03.12
東京創元社からサイン本
『インディゴの夜』と『れんげ野原のまんなかで』のサイン本が届きました。
本が出てからひと月ぐらいは遅れますが、このサービスはとてもありがたいです。
サインがどのように書かれているのか、分かるように写真を撮ってみました。
サイン本の販売は、東京創元社のサイトや、メールマガジンで発表されます。興味のある方は、そちらのページをご覧ください。
『れんげ野原のまんなかで』 森谷明子 東京創元社 1,575円
『インディゴの夜』 加藤実秋 東京創元社 1,575円
2005.03.10
新刊ミステリ店頭確認
3月の新刊です。国内・海外に分けておきました。文庫は確認できているのですが、ハードカバー等は未確認のものも含まれます。
【国内文庫】
『脅迫状であてましょう』 小説推理編集部 双葉文庫 670円
『両性具有迷宮』 西澤保彦 双葉文庫 800円
『バクト!2』 海冬レイジ 富士見ミステリー文庫 588円
『闇夜に怪を語れば』 東雅夫/阿刀田高 角川ホラー文庫 660円
『リアルヘヴンへようこそ』 牧野修 角川ホラー文庫 740円
『幽霊花(上)』 長坂秀佳 角川ホラー文庫 620円
『幽霊花(下)』 長坂秀佳 角川ホラー文庫 620円
『ル-ム』 新津きよみ 角川ホラー文庫 540円
『昭和史発掘 1』 松本清張 文春文庫 870円
『新・本格推理05』 二階堂黎人 光文社文庫 980円
『ふしぎな人(江戸川乱歩全集第21巻)』 江戸川乱歩 980円
『蚊取湖殺人事件』 泡坂妻夫 光文社文庫 540円
【国内新書】
『モロッコ水晶の謎』 有栖川有栖 講談社ノベルス 903円
『地獄変』 中島望 講談社ノベルス 1,134円
『雪下に咲いた日輪と』 講談社ノベルス 高里椎奈 945円
『パズル自由自在 千葉千波の事件日記』 高田崇史 945円
『タイムスリップ釈迦如来』 鯨統一郎 講談社ノベルス 840円
『蠱猫』 化野燐 講談社ノベルス 924円
【海外文庫】
『長い日曜日』 セバスチアン・ジャプリゾ 創元推理文庫 987円
『ボトムズ』 ジョ-・R.ランズデ-ル ハヤカワ・ミステリ文庫 861円
『死刑劇場』 ロバ-ト・ハイルブラン ハヤカワ・ミステリ文庫 882円
『図書館の死体』 ジェフ・アボット ハヤカワ・ミステリ文庫 882円
『突然の災禍』 ロバ-ト・B.パ-カ- ハヤカワ・ミステリ文庫
『カジノを罠にかけろ』 ジェイムズ・スウェイン 文春文庫 810円
『クライム・ウェイヴ』 ジェイムズ・エルロイ 文春文庫 1,050円
『アイトン・フォレストの隠者』 エリス・ピ-タ-ズ 光文社文庫 600円
【海外ハードカバーその他】
『ベスト・アメリカン・ミステリ・ハ-レム・ノクタ-ン』 ジェ-ムズ・エルロイ/オット-・ペンズラ- 早川書房(ポケミス)
『フライア-ズ・パ-ドン館の謎』 フィリップ・マクドナルド 原書房 2520円
『脅迫状であてましょう』は2001年に『推理力』というタイトルで出た本の文庫化です。作家やタレントが書いた手紙を筆跡鑑定士が調べたり、古書マニアの作家を尾行したりと、ミステリで思い切り遊んでしまう本。『闇夜に怪を語れば』は百物語にまつわる怪談を集めたアンソロジー。小酒井不木、泉鏡花、岡本綺堂、都筑道夫、京極夏彦など新旧の作家の作品が収録されています。『ふしぎな人』は乱歩全集の21巻。「妻に失恋した男」、「秘中の秘」、「魔王殺人事件」、「奇面城の秘密」、「夜光人間」など収録しています。『蚊取湖殺人事件』は文庫オリジナルの短編5つに表題作他を収めた短篇集。帯に「書き下ろし」とないのですが、「買い」の一冊でしょう。
『長い日曜日』は映画「ロング・エンゲージメント」の原作。1994年に元版が出てから、10年を経て文庫化されました。解説ではゴダードの『リオノーラの肖像』との比較がされていますが、それだけの傑作ということでしょう。『ボトムズ』はMWA賞最優秀長編賞受賞作。森で見つけた死体の謎と殺人鬼に挑む少年の物語。こちらも「買い」でしょう。『死刑劇場』はMWA賞最優秀新人賞のノミネート作品です。
2005.03.09
講談社ノベルスはいつから
新刊を買いに出かけたのですが、置いてあったのは『モロッコ水晶の謎』だけ。都心の書店では、他の作品ももう入荷しているのでしょうね。
わたしの住んでいるところでは、講談社だけでなく他の出版社の新書も入荷が少ないです。映画化される作品や、年末のランキングで上位となった本が平積みになるくらいで、あとは1,2冊というところでしょうか。売り場の面積の関係でしょうね。そのようなことを考えているうちに、講談社ノベルスがいつ頃から出ていたのかが気になってしまいました。調べてみたのですが、1982年の5月が最初のようです。リストを挙げておきます。
1982年5月
『陽の翳る街』 仁木悦子
『ばいにんぶる-す』 阿佐田哲也
『特急さくら殺人事件』 西村京太郎
『東西南北殺人事件』 赤川次郎
『神州日月変 上』 栗本薫
『神州日月変 下』 栗本薫
7月
『六歌仙暗殺考』 井沢元彦
『天空の爪』 志茂田景樹
8月
『後楽園球場殺人事件』 新宮正春
『透明な牙』 生島治郎
『殺人オンライン』 長井彬
10月
『2月30日の恋人たち』 小林久三
『リア王密室に死す 旧制三高殺人事件』 梶竜雄
11月
『女教師に捧げる鉄拳』 勝目梓
『陸奥こけし殺人事件』 山村正夫
『斜め屋敷の犯罪』 島田荘司
12月
『蝶たちの殺意』 小林久三
『戦時標準船荒丸』 谷恒生
1983年1月
『四国連絡特急殺人事件』 西村京太郎
『連続殺人マグニチュ-ド8』 長井彬
懐かしい名前がたくさんあります。仁木悦子も講談社ノベルスで出ていたのですね。井沢元彦や長井彬など、乱歩賞受賞作家の書き下ろしシリーズがあったように記憶しています。このころは買って読むのは文庫ばかりで、こちらまで手に取ることはなかったです。
わたしが講談社ノベルスを購入するようになったのは、いつごろだろうと調べてみたのですが、1993年の8月からでした。このとき発売されたのは『柩の花嫁』黒崎緑、『竹馬男の犯罪』井上雅彦、『ウロボロスの偽書』竹本健治、『夏と冬の奏鳴曲』麻耶雄嵩、『聖アウスラ修道院の惨劇』二階堂黎人。書店で何かのフェアをやっていたように記憶しています。つい最近のことのように思っていたのですが、10年以上も前になるのですね。
『モロッコ水晶の謎』 有栖川有栖 講談社ノベルス 903円
少し遅くなりましたがお知らせです。
吉川英治文学賞
【第39回文学賞】北原亞以子「夜の明けるまで」(講談社)
【第26回文学新人賞】恩田陸「夜のピクニック」(新潮社)▽瀬尾まいこ「幸福な食卓」(講談社)
おめでとうございます。
2005.03.08
『九月が永遠に続けば』 沼田まほかる
本の詳細ページへ
著者:沼田まほかる
出版:新潮社
ISBN:4104734012
発行:2005年 01月
価格:1,600円 (税込:1,680円)
採点:3.5点
[帯]
第5回ホラーサスペンス大賞 大賞受賞作
綾辻行人・桐野夏生・唯川恵、三選考委員絶賛。(選評は裏に)
驚天動地の実力派新人、堂々デビュー!!
[あらすじ]
「私」は離婚後十八歳の息子・文彦と二人で暮らしている。だが、彼はある日ゴミを出しに行ったまま突然姿を消してしまう。行方を追う「私」は、夫の再婚相手の連れ子・冬子という少女と文彦が会っていたことを突き止めるが、共通の知人がホームから転落死したことから、二人が事件に関わっているのではないかと考え始める。
[感想]
新人の作品とは思えない良質のスリラーである。
全体を通して無理な力みながなく、文章も自然で読みやすい。展開はいくらか偶然が目につくものの、緊迫感を生み出す場面の挿入がタイミングよく、違和感なく楽しむことができる点は優れている。
息子の失踪から転落事故、そして家族の問題へと読者の関心はスライドしていくのだが、一つ一つの謎が次第につながっていくという手法をとっているため、興味が削がれることなく読み進めることができる。また、すべての出来事が一つの輪に結びつくことで、謎が解き明かされると同時に、日常の中に秘められた個々の強い思いが浮かび上がってくる。
事件の当事者としての「私」の視点で物語は進む。彼女が自分自身を振り返り、事件を客観的に見直していこうとするところがよい。主人公と読者との距離は章を追うごとに縮まり、いつの間にか不安感を共有していることに気づかされるのだ。派手さはないが、安心して読める作品といえるだろう。
2005.03.06
『名探偵コナン建設FILE』
小中学生向けの建設に関するガイドブックですが、これがよくできています。制作は社団法人建築業協会他。国内の様々な施設を建築という視点から取り上げたものです。たとえば、ビルを建てるときに使うクレーンをどのように降ろすかとか、平安京から現代の町作りの工夫をとらえるとか、子どもたちにも分かりやすいようにコナンに登場するキャラクターたちが解説しています。絵や写真をふんだんに使用して、オールカラー、カバー付きの豪華な作り。所々にコナンの映画の宣伝もあって、見て楽しくためになる本です。非売品ですが、これはよい本ですよ。
2005.03.05
Mystery Best ???楽天ブックス 300ポイントのプレゼント
Mystery Best ???楽天で、春のキャンペーンが始まりました。5000円の注文ごとに300ポイントがつきます。本を何冊か購入するとき、5000円を超えるようでしたらどうぞお使いください。また、何度でもご利用いただけるので、まとめて購入される方は、5000円ごとに注文を分けるとよいと思います。
『死を招く料理店(トラットリア)』 ベルンハルト・ヤウマン
本の詳細ページへ
著者: ベルンハルト・ヤウマン /小津薫
出版:扶桑社ミステリー
ISBN:4594048986
発行:2005年 02月
価格:905円 (税込:950円)
採点:4.5点
[帯]
ドイツ推理作家クラブ賞(グラウザー賞)受賞
おいしいイタリア料理を食べながら
ミステリーを執筆できるはずだった…
作家が落ちた、思いがけない罠とは?
ミステリー小説と、現実世界とが同時進行
虚実がもつれあう、二重三重の殺人悲喜劇
[あらすじ]
ローマの私立探偵・ブルネッティはレストラン評論家のフェレッリの監視を続けていた。だが、対象者は豪華な料理を食べた翌日、無惨な姿で発見されてしまう……という物語を書き始めた「わたし」は、ローマの料理店で、食事代をただにしてもらえないかと店主に交渉する。店を舞台に小説を書けば、売り上げも上がるという理屈だ。ところが、彼が作品で描いた事件が、店の中で本当に起きてしまう。
[感想]
構成の妙、個性的な登場人物、奇抜なストーリー展開と優れた特長を兼ね備えた傑作である。
まず、作品の構成がおもしろい。ブルネッティという私立探偵が活躍する物語があり、それを推理小説として書き進める作家「わたし」の手記が外枠を埋める。この「わたし」はローマを訪れたドイツのミステリ作家という設定がされており、これは著者であるベルンハルト・ヤウマン自身をモデルとしているのだ。さらにこの二つの物語それぞれに毒殺事件が起こり、内と外のストーリーが干渉し合うという構造になっている。
次に、作中作の主人公ブルネッティについてだが、この探偵が実にユニーク。一見ハードボイルド風なのだが、次から次へと災難に見舞われ、その度に底抜けにポジティブな思考で乗り切ってしまう。98%が天然、残りは運だけで生きているようなキャラクターなのである。また、この私立探偵の作者である「わたし」がブルネッティとは逆に現実的で、作品の展開に頭を悩ませ、浸食される現実世界に疑心暗鬼になっていく様子が微細に描き出されている。
さらに、何と言ってもこの不思議な展開がすばらしい。動機無き殺人、復活する死者、幻を見ているのではないかと感じてしまうような不可思議な出来事が立て続けに起きる。しかもそれが外枠となる「わたし」の物語とからみ合い、内外両面から事件が解き明かされるという場面も用意されている。味覚をテーマにしたというだけ合って、紹介される料理の描写が巧み。それがトリックやプロットと有機的に関わっている点も特筆に値する。
一つ残念なのは、この作品が五部作の最終巻であること。五感をテーマに、本国ドイツではこれまでに四作品が刊行されていたらしい。これらを続けて読んだドイツのミステリファンは、このアクロバティックな結末にさぞかし喜んだことだろう。この一冊から読んでしまうのは何とももったいない話である。
2005.03.04
『怪人二十面相』 江戸川乱歩
『怪人二十面相』 江戸川乱歩 ポプラ社 630円
文庫版の『怪人二十面相』が発売されました。1998年にポプラ社から出たハードカバーをそのまま手軽なサイズと価格にしたものです。表紙がソフトカバーとなっている他は、イラストもそのままで、お買い得な本と言えるでしょう。
ハードカバー版は1,2冊ずつ刊行されたのですが、今回は26冊同時発売で、児童書のコーナーに平積みになっていました。しばらくはこの状態が続くでしょうから、お子さんがいらっしゃる方は、書店に連れて行って、さわらせてあげるのもよいのではないでしょうか。
ただ、この作品を今の子どもたちに読ませるには、ハードルとなる部分があることを知っておく必要があるでしょう。それは、言葉の問題です。作品の成立が1936年ですから、今ではあまり見られない言葉もありますし、当時の子どもたちには分かっても、今の子どもたちには難しい言葉もあるのです。文体も古めかしく感じられるかもしれません。
たとえば、最初のページだけでも「盗賊」、「富豪」、「無頼漢」という言葉が出てきます。「盗賊」はテレビゲームの中で使われますし、「アラビアンナイト」などを読み聞かせてもらった子どもたちならば意味はわかるでしょう。しかし、その後「賊」という一文字で使われています。これはあまり見慣れない言葉でしょうね。また、ふりがながついてはいるのですが「富豪」や「無頼漢」も生活の中ではあまりふれることのない言葉でしょう。この他にも、「大立者」、「貴下」、「主家」など枚挙にいとまがありません。
しかし、こうしたハードルを超えることには、大きな意味があると思います。見慣れない言葉と出会うことで、言葉の世界は豊かになっていきます。独特の文体とリズムに慣れ親しむことで、二十面相や明智小五郎、少年探偵団が活躍する物語の世界へと空想は広がっていきます。空想だけでなく、現実にも刺激の多い現代ですが、物語の中ではらはらどきどきし、スリルとサスペンスに興奮する体験を、現代の子どもたちにさせてあげることは大切なことではないでしょうか。
2005.03.03
東京創元社からの葉書
東京創元社の雑誌「ミステリーズ!」は、推理小説専門の雑誌です。短編と長編の連載、評論やインタビューなど、充実した内容で、毎月刊行されています。
刊行当初から定期購読をしていたのですが、今回継続手続きを行ったところ、葉書をいただきました。
拝啓 平素より小社の刊行書をご購読頂き有難うございます。 また、この度は「ミステリーズ!」定期購読の御継続を頂きましたこと、御礼申し上げます。 今回のご入金により、Vol.十号より六冊分のお届けとなります。 どうぞ今後ともご愛読を賜りますようお願い申し上げます。 敬具水色の罫線にぴったりと入った文面の印刷、虫眼鏡を持ったホームズのデザインもよいのですが、文がイラストにかからないように、ちょうどよいところで改行されているのに感心しました。出版社に直接頼んでいる定期購読は、「ミステリーズ!」だけなので、比較はできませんが、こうして気配りの感じられる葉書をいただくというのは、読者としては嬉しいものです。「ミステリーズ!」の最新号Vol.9はこちらです。
昨日の読書はグラウザー賞(ドイツ推理作家クラブ賞)の『死を招く料理店』。先がまったく読めないところは気に入りました。届いた本の1冊は乾くるみの『リピート』。こちらは昨年忙しい時期に出た本で、買い逃していたものです。もう1冊は『私の優しくない先輩』。ネットでタイトルをよく見かけたので買ってみました。
2005.03.02
3月に出るミステリの文庫本
予定ですので、変更される場合もあります。購入の計画にお使いください。
【国内文庫】
闇夜に怪を語れば 百物語アンソロジー 東雅夫 角川ホラー文庫
ルーム 新津きよみ 角川ホラー文庫
幽霊花(上)「弟切草異聞」 長坂秀佳 角川ホラー文庫
幽霊花(下)「弟切草異聞」 長坂秀佳 角川ホラー文庫
リアルヘヴンヘようこそ 牧野修 角川ホラー文庫
蚊取湖殺人事件 泡坂妻夫 光文社文庫
新・本格推理05 二階堂黎人 光文社文庫
ふしぎな人 江戸川乱歩 光文社文庫
両性具有迷宮 西澤保彦 双葉文庫
バクト!(2)The Spoiler 海冬レイジ 富士見ミステリー文庫
海賊丸漂着異聞 満坂太郎 創元推理文庫
時の密室 芦辺拓 講談社文庫
クラインの壷 岡嶋二人 講談社文庫
QED〔式の密室〕高田崇史 講談社文庫
捩れ屋敷の利鈍 森博嗣 講談社文庫
石の中の蜘蛛 浅暮三文 集英社文庫
贋作「坊っちゃん」殺人事件 柳広司 集英社文庫
迷宮逍遥 有栖川有栖 角川文庫
アリゾナ無宿 逢坂剛 新潮文庫
【海外文庫】
アイトン・フォレストの隠者 エリス・ピーターズ 光文社文庫
クライム・ウェイヴ ジェイムズ・エルロイ 文春文庫
カジノを罠にかけろ J・スウェイン 文春文庫
突然の災禍 ロバート・B・パーカー ハヤカワ文庫HM
図書館の死体 ジェフ・アボット ハヤカワ文庫HM
死刑劇場 ロバート・ハイルブラン ハヤカワ文庫HM
長い日曜日 セバスチアン・ジャプリゾ 創元推理文庫
モンスター臨床心理医アレックス J・ケラーマン 講談社文庫
悠久の窓(上) R・ゴダード 講談社文庫
悠久の窓(下) R・ゴダード 講談社文庫
過去からの殺意 ヴァル・マクダーミド 集英社文庫
ボトムス ジョー・R・ランズデール ハヤカワ文庫HM
ブラッドタイド メルヴィン・バージェス 創元推理文庫
イエスの古文書(上) アーヴィング・ウォーレス 扶桑社海外文庫
イエスの古文書(下) アーヴィング・ウォーレス 扶桑社海外文庫
ビッグ・バッド・シティ エド・マクベイン ハヤカワ文庫HM
夜明けのメイジー ジャクリーン・ウィンスピア ハヤカワ文庫HM
偽りの名画 アーロン・エルキンズ ハヤカワ文庫HM
幻想と怪奇 宇宙怪獣現わる 仁賀克雄 ハヤカワ文庫NV
(思いつき)
泡坂妻夫は久しぶり。『新・本格推理05』は公募した短篇から優れた作品を選んだもの。新しい作家、新しい作品に出会えます。『バクト!』はもう2巻が出るのですね。『海賊丸漂着異聞』は鮎川賞の受賞作。ジョン万次郎が登場します。『時の密室』は時を隔てた事件がつながっていく重厚な作品。『クラインの壷』はSF系のミステリです。講談社は岡島二人の作品をコンスタントに再文庫化していますね。『石の中の蜘蛛』は推理作家協会賞受賞作。聴覚をテーマにした作品で、これは傑作です。
海外は、光文社からカドフェルのシリーズ。『図書館の死体』はミステリアス・プレス文庫からの再文庫化です。『偽りの名画』も同様ですね。シリーズすべて出るとよいのですが。『長い日曜日』は映画化に合わせて文庫になるようです。ゴダードは波があるのですが、『リオノーラの肖像』の衝撃をもう一度期待しながら、全作購入を続けています。『幻想と怪奇』は2巻目。2月に出た1巻は買っておいた方がよいと思います。
2005.03.01
『忌まわしき絆』 L.P.デイビス
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著者:L.P.デイビス/板垣節子
出版:論創社(論創海外ミステリ)
ISBN:4846005232
発行:2005年 02月
本体価格:1,800円 (税込:1,890円)
採点:4.0点
[帯]
凶悪のペーパー・ドール
蘇る漆黒のホラー・サスペンス
「あんな子を引き取らねばよかった」
「あの子を手元に置かずにすむなら、右腕だって差し出すものを」
[あらすじ]
クックリー中学の教師・ゴードンの担当する生徒が屋根から転落した。突然窓枠によじ登り、自ら落ちたのだという。だが、同様の事故が小学校でも起きていたことが分かり、二つの事故に関係するロドニーという少年が浮かび上がる。ゴードンは同僚の美術教師・ジョーンとともにロドニーの生い立ちを調べ始めるのだが……。
[感想]
子どもというのは不思議な存在である。未熟な心の中にどんな可能性を秘めているのか、わたしたち大人はそこに大きな期待を寄せる反面、彼らの理解のできない行動に不思議さや、時には恐怖を感じることもある。誰もが通り抜けてきた時代であるはずなのに、なぜなのだろう。本書は、そうした子どもの謎めいた一面を極限まで引き出した作品である。
物語は学校での転落事故から始まる。二人の教師がロドニーという少年に目をつけ、その生い立ちを探るというもの。途中、仲間となる人物と出会い、協力しながら少年に秘められた過去と恐るべき真相に近づいていく。わずかな手がかりから過去を辿っていく調査のおもしろさ、そして主人公ゴードンを初めとする人物描写の豊かさは、作品成立の1964年からまったく色あせていない。また、真相に近づくほど緊張感が高まるという点ではホラー・サスペンスとして評価できるところだろう。
特筆すべきは、登場人物の少年に対する感情の描き方だろう。少年を追う二人の教師は、担当する生徒への関心や義務感だけで行動するのではない。調査の中で、二人は次第に少年に対して強い絆を感じ、何としても救おうとする気持ちを持つようになる。不気味な子どもに対する憎しみ、恐怖感と、愛情や信頼といったものをうまく対比させ、独特の読後感を与えている点も面白い。
2005.02.28
『ダ・ヴィンチ・レガシー』 ルイス・パーデュー
本の詳細ページへ
著者:ルイス・パーデュー /中村有希
出版:集英社文庫
ISBN:4087604829
発行:2005年 02月
価格:781円 (税込:820円)
採点:3.0点
[帯]
あのベストセラーをしのぐ興奮!
万能の天才レオナルド・ダ・ヴィンチ
――彼は、恐怖という名の“遺産”を遺した。
謎解きとアクションが導く衝撃のクライマックス!
'80年代に書かれた歴史ミステリーの傑作がいま!
[あらすじ]
石油会社に勤務するヴァンスは採掘調査に携わる傍ら、趣味でレオナルド・ダ・ヴィンチの研究を続けていた。偶然にも貴重な手記を見る機会を得た彼は、その中に失われたページがあることに気づく。だが、関わった研究者は次々と不慮の死を遂げ、ヴァンスの恩師もまた犠牲となってしまう。犯人を追うヴァンスは、手がかりを求めて旧知の学者を訪れるのだが、危険はヴァンス自身にも迫っていた。
[感想]
1983年に発表されたものを改稿し、2004年に再度刊行された作品。ミステリといっても謎解きが中心ではなく、ダ・ヴィンチの手記の失われたページを巡る痛快なアクションが売りの冒険小説である。
主人公は石油会社の御曹司。アマチュアのダ・ヴィンチ研究家でもあり、機知に富み、体力にも恵まれた人物である。そして彼と行動を共にするのが記者のスーザン。こちらもまた誰もが振り返るような美女で、銃の腕前はなぜか超一流。まさに絵に描いたようなヒーロー、ヒロインの二人が謎の集団と戦うのだが、銃撃、カーチェイス、古城への侵入とどこをとってもスパイ映画さながらの大活躍。繰り返し命を狙われながら、危機を間一髪でくぐり抜けるところはそのまま007である。
敵側もスケールが大きく、数百年の歴史を持つ教団に世界に暗躍する秘密結社と豪華なのだが、最強ペアと比較すると今ひとつ迫力に欠ける面は否めない。ベールに包まれている間はよいのだが、秘密が秘密でなくなることで怖さも半減してしまう。
作品の改稿が2004年ということで、表計算ソフトのエクセルや、貿易センタービルのテロといった言葉が時折登場するのだが、作品を読んでみるどうも違和感がある。無理に最近のトピックを挿入する必要はなかったのではないか。と思っていたら、翻訳を担当された中村有希さんのページに、その苦労話が出ている。なるほどこれは大変な作業であったに違いない。ダ・ヴィンチの謎について過度の期待は禁物、少々大味だが、もしこんなことがあったらと歴史のロマンを感じながら気軽に楽しむにはよい。
2005.02.27
モモちゃんがない
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娘二人と一緒に夕方のお買い物。明日のパンを買おうと思ったのですが、また書店に寄ってしまいました。
娘2号が探していたのは『小さいモモちゃん』のシリーズ3冊目、『モモちゃんとアカネちゃん』でした。でも、置いていないのです。というよりもシリーズが一冊もありません。ハードカバーだけでなく、青い鳥文庫の方もないのです。児童書のコーナーは郊外の書店にしては広いのに、ちょっと残念でした。こういうよい本は、いつでも置いてほしいです。
仕方なく買ったのが柊あおいの『耳をすませば』。娘1号の方はいぬいとみこの『北極のムーシカミーシカ』です。
見つけたミステリの新刊を一冊。書店には行ってみるものです。
『死を招く料理店』 ベルンハルト・ヤウマン 扶桑社ミステリー 950円
ドイツ推理作家クラブ賞(グラウザー賞)の受賞作。料理店でミステリを書く作家が、現実に殺人事件に巻き込まれるという物語。解説を見るとこの作家、世界各国の首都を舞台に、五感をテーマにしたミステリを書いているようです。それで今回の作品が「味覚」。ドイツ版の山田正紀、浅暮三文かと思ってしまいますね。
おまけに「モモちゃん」の人形がついた本を紹介します。かわいいですよ。
『ちいさいモモちゃん にんぎょうえほん』 松谷みよ子 講談社 1,575円
新刊ミステリ 店頭確認
週末の買い物で寄ったスーパーの中で、論創海外ミステリの新刊3冊を見つけてしまいました。まだ棚に並べる前で、ワゴンに入っていたのですが、まとめて抜いてレジに持って行きました。というわけで、3冊を並べてどれから読もうかと考えているところです。
『死の会計』 エマ・レイスン 論創海外ミステリ 2,100円
『裁かれる花園』 ジョセフィン・ティ 論創海外ミステリ 2,100円
『忌まわしき絆』 レスリ・パーネル・デーヴィス 論創海外ミステリ 1,890円
『死の会計』はCWAシルヴァーダガー賞受賞作。『裁かれる花園』は学園を舞台にしたサスペンス。『忌まわしき絆』は「漆黒のホラー・サスペンス」ということで、これがいちばん怪しげですね。
この他、いくつか出ていますのでお知らせします。
『写本室(スクリプトリウム)の迷宮』 後藤均 創元推理文庫 693円
『バッキンガム宮殿の殺人』 C.C.ベニスン ハヤカワ・ミステリ文庫 903円
『猫は銀幕にデビューする』 リリアン・J.ブラウン ハヤカワ・ミステリ文庫 693円
『幻想と怪奇 ポオ蒐集家』 仁賀克雄・編 ハヤカワ文庫NV 777円
『写本室の迷宮』は第12回鮎川哲也賞受賞作。ハードカバーの刊行時に、東京創元社さんから送っていただきました。その節はお世話になりました。最後まで読み終えても、まだ謎が幾つか残るのです。続編ができたらよいのですが。文庫、もちろん買います。
『バッキンガム宮殿の殺人』はエリザベス女王のメイドになった主人公が活躍するミステリです。軽快で、読みやすい作品ですよ。以前、ミステリアス・プレス文庫で出ていたものです。
『幻想と怪奇』は長い間品切れで、探している人もたくさんいたようです。店頭に並んでいるうちに、購入されることをおすすめします。
おまけですが、ベルガリアード物語が復刊されました。1988年に第1巻が出たファンタジーで、『指輪物語』がお好きな方ならば楽しめるでしょう。表紙が今風になって、新しいファンができそうです。ミステリではありませんが、良質のエンターテインメントですよ。
『予言の守護者』 デイヴィッド・エディングス ハヤカワ文庫FT 861円
2005.02.26
『羊の秘』 霞流一
本の詳細ページへ
著者:霞流一
出版:祥伝社(Non novel)
ISBN:4396207921
発行:2005年 02月
価格:876円 (税込:920円)
採点:3.5点
[帯]
装飾された死体+雪上の殺人+ガラスの密室!
「これが本格ミステリ“消去法の美学”だ」
ミステリベスト2冠の
法月綸太郎氏も驚倒!
[あらすじ]
古道具屋の露沢が訪れた土蔵には、奇妙な死体があった。全身紙に覆われ、口には金属の棒。現場の三つの古時計は、それぞれ1時、2時、3時を示していた。そして再び起きる奇妙な事件。被害者はみな夢の表現サークルの関係者だった。
[感想]
都市伝説の不思議を背景に展開する哀しい物語。トリック満載で、まさにミステリマニア向けの作品である。
一作に一つの動物ネタを充てる作者が今回選んだのは羊。それがアイテムに関連するだけでなく、動機や推理の過程といったさまざまなレベルで作品に織り込まれている点は見事。しかし、何よりも嬉しいのはどこまでもトリックと謎解きにこだわる姿勢である。
ミイラのように巻かれた被害者、ガラスの密室で火の玉となった死体など、奇怪な謎を提示し、蘊蓄を傾けながら驚くべき真相の種明かしをする。それは無理というとんでもないトリックも、ここまでやってくれれば大満足。得られた手がかりから容疑者を一人ずつ除外していくという、ミステリ好きにはたまらない大団円も用意されている。
また、登場人物の会話の軽快さと事件の底流にある痛ましさ、この二つのギャップが不思議な味わいとなり、次第に作品の色合いが変わってくるところも興味深い。やるせない思いが残る結びもよい。
2005.02.25
新刊ミステリ 店頭確認
『続巷説百物語』 京極夏彦 角川文庫 900円
『新・世界の七不思議』 鯨統一郎 創元推理文庫 735円
『黒い天使』 コ-ネル・ウ-ルリッチ ハヤカワ・ミステリ文庫 798円
『続巷説百物語』は又市一味が請け負う闇の仕事を描いた時代ミステリ。シリーズの第2作で、これに続く『後巷説百物語』は直木賞を受賞しています。解説は恩田陸。大極宮通信の12号のリーフレットが入っていますよ。
『新・世界の七不思議』は『邪馬台国はどこですか?』のキャラクターが世界の謎に挑むという楽しい作品。東京創元社の雑誌「ミステリーズ!」に掲載された短篇をまとめたものです。
『黒い天使』はウールリッチの名作。『黒衣の花嫁』、『黒のカーテン』、『黒いアリバイ』など「黒」をタイトルに冠した作品の一つです。シリーズというわけではなく、単発の作品なので、今回新訳された『黒い天使』から手に取ってみるとよいでしょう。
本当はもっと新刊が出ているのですが、まだ近所の書店に入荷していないので、とりあえず3冊紹介しました。どれも「買い」ですよ。
2005.02.24
書店に行こう!キャンペーン
昨日の読売新聞の夕刊には、紙面の各所に広告が出ていました。
小さい頃、書店は夢や宝物がいっぱい詰まった魔法のお店でした。
何度か足を運ぶうちに、よく行く店の棚を覚えて、そこがお気に入りの場所になりました。一番下にはパディントン、その上の棚にはドリトル先生、怪人二十面相やルパンのシリーズもその隣に並んでいました。今日はこの棚、明日はあの棚。立ち読みはいけないと子ども心に思っていたので、何冊かを出したり入れたり、そっと手にとって選んでいました。
並んだ中から一冊を引き出すときのあのわくわくする気持ち。「ドリトル先生」は箱に入っていて、レジに持って行くと本を半分だけ引き出して、中の紙をお店の人が抜きます。紙袋に入れてセロハンテープを貼り、手渡してくれる瞬間が嬉しかったですね。「ありがとうございました!」という声で魔法が解けて、本を抱えながら店を飛び出しました。
小さな書店はわたしの近所でも減ってきています。本を買うというあの楽しい時間は、今の子どもたちにも味わってほしいと思います。
昨日は、朝から校門で本を持って歩いている女の子に会いました。読んでいたのは『いちご』。先週教室に持ってきたのですが、その子が「読んだらもう止まらなくなりました。」と言ってくれたのが嬉しかったです。
「テレパシー少女」の新刊が出ている、と教えてくれたのは別の子でした。あの本屋さんの、あの棚の下にこうして置いてあった、と一生懸命に説明してくれます。この子も本が好きになってくれたのだと、にこにこしながら聞いていました。
本を手にする喜びをたくさん伝えて、未来のよい読者を育てたい、改めてそんな思いを持ちました。
書店に行こう!キャンペーン
『いちご(1)FromIchigo』 倉橋燿子 講談社青い鳥文庫 609円
『ゴースト館の謎 テレパシー少女「蘭」事件ノート7』 あさのあつこ 講談社青い鳥文庫 651円
2005.02.23
『シシリーは消えた』 アントニイ・バークリー
本の詳細ページへ
著者: アントニイ・バークリー /森英俊
出版:原書房(ヴィンテージ・ミステリ・シリーズ)
ISBN:4562038713
発行:2005年 02月
価格:2,400円 (税込:2,520円)
採点:4.0点
[帯]
黄金時代のまさに〝幻の逸品〟
著者の死後発掘された
ロマンスあふれる本格推理!
「ひとを消すことができる、とびっきりの呪文があるんだ」
余興に始めた降霊会のさなか、若い女性がほんとうに〝消えて〟しまう。
やがてある不可解な事実が浮かび上がって二転三転……。
[あらすじ]
財産を使い果たして従僕の仕事に就くことになった青年・スティーヴン・マンローは、勤め先の屋敷で事件に遭遇する。屋敷の女主人の姪・シシリーが降霊会の最中に突然部屋から消えてしまったのだ。スティーヴンは招待客の一人で元恋人・ポーリーンとともに消えたシシリーを探し始めるのだが、事件はさらに複雑な様相を呈してくるのだった。
[感想]
バークリーの作品を読むたびに思うのは、人物の描き方が実に好ましいということである。名探偵ロジャー・シェリンガムはもちろん、『第二の銃声』の語り手といい、この『シシリーが消えた』のスティーヴンといい、読者にいかに好感を持たせるかという点で、バークリーの筆力は際だっている。加えてテンポよく巧みなストーリー展開は、書かれたのが1927年という遙か昔であっても今なお読者を引き込み、楽しませてくれる。
まず、主役のスティーヴンには、貴族から従僕へという少々気の毒でユーモラスな設定をし、慣れない仕事での失敗で楽しませてくれる。続いて偶然招かれた魅力的な元恋人を登場させ、いくつかの障害を配置して二人の恋の成り行きに読者の興味を引きつける。そうこうしているうちに降霊会での人間消失、謎の手紙、殺人事件と謎は次々に提示され、読者はページを捲る手を休める暇もなくなってしまうのである。
人間消失を始めとして個々の出来事を見たとき、トリックに関してはさほど奇抜なものはない。だが、構成が巧みであるため、それらが実際に事件として現れたときに、それぞれが謎めいて見えてしまうのだ。犯人の目論見と探偵の行動、そこに偶然の状況が重なって、不可解な事件が展開する。驚くような結末はないが、この複雑な事件がすっきりと解決されるエンディングは読んでいて気持ちのよいものである。
『シシリーが消えた』がどれほど貴重な作品であるか、没後の発見や現存部数の少なさなどその詳細は解説に書かれているが、単に珍しいだけでなく、読んで楽しめる作品であることが嬉しい。海外ミステリや、古典と呼ばれる作品にふれたことのない方にもこれならば十分楽しんでいただけるだろう。
2005.02.22
ライトノベルという言葉
仕事で作った書類の中に、「ライトノベル」という言葉を入れたら、わかりにくいので変えるようにという指示を受けました。当たり前のように使っていたので、少し驚きましたが、考えてみればこの言葉が出てきたのはここ数年のことのように思います。本の情報にあまりふれない方にとっては、意味の分からない言葉かもしれません。
「ライトノベル」という言葉はどの程度認知されているのでしょう。試しにGoogleで調べると 212,000件のヒット。ずいぶん多く感じられますが、ネット上ではほぼリアルタイムで言葉が普及しますから、これだけで広く知られているとは言えません。辞書で引いてみると、「広辞苑第五版」にはありません。ネット辞書の「大辞林」にもありませんが、三省堂提供「デイリー 新語辞典」ですと「10代の若者を主な読者層に想定した気軽に読める小説の総称。会話の多様やアニメ-タッチの挿絵などが特徴。」と出ていました。また、自宅の電子辞書で「現代用語の基礎知識2004」を調べたところ、こちらにはありませんが、今年度版を見ると、そちらには出ています。
ライトノベル完全読本の紹介文を見ると、
いま、“ライトノベル”と称される文庫小説に勢いがあります。
(ライトノベルとは、カバーや挿画にイラストを多用し、主として文庫の形で出版されている若年層を対象とした小説)。
「マリア様がみてる」(コバルト文庫)、「イリヤの空、UFOの夏」(電撃文庫)といった作品をはじめ、「ガンダム」や「鋼の錬金術師」などのアニメ、ゲームをノベライズ化した作品も人気を得ています。
とあります。ここでもライトノベルという言葉に対して説明を入れていますから、やはり、まだ新しい言葉なのですね。本が好きか、ある年齢層の範囲の方にしか通じないのかもしれません。しかし、最近の出版の状況から考えると、ジャンルとしては確立しているように感じます。分類する上で名前は必要ですね。早く言葉が認知されるとよいのですが。
ライトノベルに関する本
「ライトノベル完全読本」 日経BP社 2004年 08月 1000円
「このライトノベルがすごい!(2005)」『このミステリーがすごい!』編集部 宝島社 2004年 12月 725円
「ライトノベル・めった斬り!」 大森望/三村美衣 太田出版 2004年 12月 1,554円
「ライトノベル完全読本(vol.2)」日経キャラクターズ!編集部 日経BP社 2005年 01月 780円
「ライトノベルデータブック 作家&シリーズ/少年系」 榎本秋 雑草社 2005年 02月 1,365円
2005.02.21
第25回横溝正史ミステリ大賞決定
第25回横溝正史ミステリ大賞は、伊岡瞬さんの『約束』に決定したそうです。おめでとうございます。
公式ページはこちら。
ちなみに、過去の受賞作品は下のようになっています。
『この子の七つのお祝いに』、久しぶりにこのタイトルを見ました。岸田今日子主演で映画化もされましたね。とても懐かしいです。
第1回(1981年) 大賞『この子の七つのお祝いに』斎藤 澪
第2回(1982年) 大賞『殺人狂時代ユリエ』阿久 悠
佳作『メービウスの帯』芳岡道太
第3回(1983年) 大賞『脱獄情死行』平 龍生
佳作『篝り火の陰に』速水拓三
第4回(1984年) 大賞 受賞作なし
第5回(1985年) 大賞『見返り美人を消せ』石井竜生/井原まなみ
佳作『四十年目の復讐』中川英一
佳作『画狂人ラプソディ』森雅裕
第6回(1986年) 大賞 受賞作なし
第7回(1987年) 大賞『時のアラベスク』服部まゆみ
佳作『鉄条網を越えてきた女』浦山 翔
第8回(1988年) 大賞 受賞作なし
第9回(1989年) 大賞『消された航跡』阿部 智
佳作『真実の合奏』姉小路祐
第10回(1990年)大賞 受賞作なし
優秀作『世紀末ロンドン・ラプソディ』水城嶺子
第11回(1991年)大賞『動く不動産』姉小路祐
第12回(1992年)大賞『レプリカ』羽場博行
『恋文』松木 麗
特別賞『殺人の駒音』亜木冬彦
第13回(1993年)大賞 受賞作なし
優秀作『灰姫 鏡の国のスパイ』打海文三
優秀作『キメラ暗殺計画』小野博通
第14回(1994年)大賞『ヴィオロンのため息の-高原のDデイ-』五十嵐均
佳作『おなじ墓のムジナ』霞 流一
第15回(1995年)大賞『RIKO-女神の永遠-』柴田よしき
佳作『盟約の砦』藤村耕造
第16回(1996年)大賞 受賞作なし
優秀作『ノーペイン ノーゲイン』坂本善三郎
佳作『夏色の軌跡』西浦一輝
第17回(1997年)大賞 受賞作なし
佳作『クラッカー』建倉圭介
第18回(1998年)大賞『直線の死角』山田宗樹
佳作『思案せり我が暗号』尾崎諒馬
奨励賞『稜線にキスゲは咲いたか』三王子京輔
第19回(1999年)大賞『T.R.Y.』井上尚登
佳作『フラッシュ・オーバー』樋口京輔
奨励賞『ヴィクティム』小笠原あむ
第20回(2000年)大賞『DZ ディーズィー』小笠原慧
『葬列』小川勝己
第21回(2001年)大賞『長い腕』川崎草志
優秀作『中空』鳥飼否宇
第22回(2002年)大賞『水の時計』初野晴
テレビ東京賞『逃げ口上』滝本陽一郎
第23回(2003年)大賞 受賞作なし
第24回(2004年)大賞『風の歌、星の口笛』村崎友
優秀賞・テレビ東京賞『みんな誰かを殺したい』射逆裕二
「ALL ABOUT 大沢在昌」
本の詳細ページへ
大沢在昌全面協力
別冊宝島
出版:宝島社
ISBN:4796644989
発行: 2005年 03月
価格:1,300円 (税込:1,365円)
宝島社から、「ALL ABOUT 大沢在昌」という本が出ました。
佐久間公、新宿鮫、アルバイト探偵といったシリーズものを始め、これまでに出版されたすべての作品についての解説と、スペシャルインタビュー、単行本未収録作品の「レスリーへの伝言」を収めたたいへん贅沢な一冊です。書影がモノクロなのは残念ですが、主要キャラクターの生い立ちや人物相関図があるのは嬉しいですね。
関口苑生のエッセイ「日本で「ハードボイルド作家」と呼べるただひとりの人物」には、河野典生『殺意という名の家畜』、結城昌治『暗い落日』、生島治郎『追いつめる』など国内ハードボイルドの流れと、そこに登場した大沢在昌の位置と方向が分かりやすく紹介されています。
大沢在昌公式サイト 「大極宮」
『殺意という名の家畜』 河野典生
『暗い落日』 結城昌治 品切れ
『追いつめる』 生島治郎 品切れ
よい作品が品切れとなっているのは残念です。
『オルファクトグラム』 井上夢人
本の詳細ページへ(上巻)
本の詳細ページへ(下巻)
著者:井上夢人
出版:講談社文庫
ISBN:4062749858
発行: 2005年 02月
価格:819円 (税込:860円)(上巻)733円 (税込:770円)(下巻)
[帯]
’01年度「このミス」4位の名作がついに!(上巻)
究極の嗅覚の世界 愛と感動の大長編(下巻)
[あらすじ]
片桐稔は姉の家を訪れたとき、何者かに背後から襲われた。病院で意識を取りもどした彼は、そのとき姉が殺害されていたことを知らされ、同時に頭部の怪我が原因で自分が驚くべき嗅覚を身に付けたことに気づく。この嗅覚が犯人を追い詰めるために役立つのだろうか…。しかし、殺人者は次々と犯行を重ねていくのだった。
[感想]
わたしたちは匂いの世界のことをほとんど何も知らない。だが、もしこのように見えたらどんなに素敵だろうと心から感じせさてくれるこの作品は実に美しい。
主人公が自分の変化に気づき、匂いの構造を調べたり、CGで描いたりするところから、わたしたちは彼の喜びを感じ取ることができる。今まで見ることのできなかった世界を調べてみたい、そして他の人にも伝えたいという気持がストレートに読者の心に届いてくるのである。主人公はおそらく生まれたての赤ん坊が全身で刺激を受け止めているのと同じような興奮を感じているのだろう。これは事件を追う緊迫感やスリル・サスペンスとは違う。新しいものを知りたい、感じたいという、人間が生まれながらに持っている願いである。これが読みながら満たされていくのはどんなに嬉しいことか。
実際には赤ん坊は刺激から学習をしていくときの興奮をわたしたちに伝えることはできない。だが、主人公が匂いの世界を知るのと同じような感動を理解するのに近い場面は体験することができる。それは、文字の存在を知り、読むことができたときの幼児の姿からである。
文字を覚えたばかりの娘を連れてドライブに出かけた。娘は窓から見える「そば処」の文字を見て、「そ…ば…」と読み、たどたどしく何度か繰り返してからようやく「そば」のことだと気づいた。そして、大きな声で「おそば屋さん、あった!」とわたしに伝えてくれたのである。「うどん」の看板も「ごみ」の文字も、娘にとっては初めて文字として意識されたものである。次々に声に出し、読んで意味がわかることの喜び、文字というものが物事に対応し、言葉と同じものなのだと知る喜びを全身でわたしに伝えてきた。この喜びこそ新しい世界の存在に気づいた興奮と同じものではないだろうか。
文字だけではないのだろう。本当は目の前に当たり前に見えているものすべてに、深い意味と価値があるはずである。だが、わたしたちは成長するうちにそうしたことを忘れていってしまう。驚きに満ちた世界は、次第につまらぬものに見えてきてしまう。大人になることで失ったものは計り知れない。
作品の結末がよい。読み終えたとき、わたしたちは誰もが主人公と同じ気持ちを体験してきたのだと改めて感じることができる。そしてもう一度、世界が新鮮に見えていたときのことを思い出すことができる。匂いの世界を知るのは主人公ただひとりだが、彼は決して孤独ではない。自分と同じように、新しい世界を知る喜びを分かち合うことができるのだから。この喜びに満ちた作品を読める幸せを、一人でも多くの人と共有したい。
2001年度このミステリーがすごい4位。(旧みすべすより 文庫化により再掲)