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2005.03.04

『怪人二十面相』 江戸川乱歩

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『怪人二十面相』 江戸川乱歩 ポプラ社 630円

 文庫版の『怪人二十面相』が発売されました。1998年にポプラ社から出たハードカバーをそのまま手軽なサイズと価格にしたものです。表紙がソフトカバーとなっている他は、イラストもそのままで、お買い得な本と言えるでしょう。

 ハードカバー版は1,2冊ずつ刊行されたのですが、今回は26冊同時発売で、児童書のコーナーに平積みになっていました。しばらくはこの状態が続くでしょうから、お子さんがいらっしゃる方は、書店に連れて行って、さわらせてあげるのもよいのではないでしょうか。

 ただ、この作品を今の子どもたちに読ませるには、ハードルとなる部分があることを知っておく必要があるでしょう。それは、言葉の問題です。作品の成立が1936年ですから、今ではあまり見られない言葉もありますし、当時の子どもたちには分かっても、今の子どもたちには難しい言葉もあるのです。文体も古めかしく感じられるかもしれません。

 たとえば、最初のページだけでも「盗賊」、「富豪」、「無頼漢」という言葉が出てきます。「盗賊」はテレビゲームの中で使われますし、「アラビアンナイト」などを読み聞かせてもらった子どもたちならば意味はわかるでしょう。しかし、その後「賊」という一文字で使われています。これはあまり見慣れない言葉でしょうね。また、ふりがながついてはいるのですが「富豪」や「無頼漢」も生活の中ではあまりふれることのない言葉でしょう。この他にも、「大立者」、「貴下」、「主家」など枚挙にいとまがありません。

 しかし、こうしたハードルを超えることには、大きな意味があると思います。見慣れない言葉と出会うことで、言葉の世界は豊かになっていきます。独特の文体とリズムに慣れ親しむことで、二十面相や明智小五郎、少年探偵団が活躍する物語の世界へと空想は広がっていきます。空想だけでなく、現実にも刺激の多い現代ですが、物語の中ではらはらどきどきし、スリルとサスペンスに興奮する体験を、現代の子どもたちにさせてあげることは大切なことではないでしょうか。


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新聞にポプラ社の全面広告が出ていて驚いた。乱歩の少年探偵団シリーズとルパンシリー [Read More]

Tracked on 2005.04.04 at 12:23 PM

Comments

はじめまして。
江戸川乱歩の作品の中でも「怪人二十面相」は大好きなシリーズのひとつです。
小林少年の大人びた行動と少年らしい口調が大好きで。
最近の作品には見られない言葉綴りが時代を感じさせるけど、そこがまた乱歩作品の魅力だとも思います。
同じ明智探偵の活躍する大人向けの作品とは趣の異なる作品ですが、子供にミステリーの面白さを知ってもらうにはうってつけの作品だと思います。
文庫本が出たと知って、ハードカバーで揃えた身としてはちょっと複雑ですが…もう少し待てばよかった。
長文、失礼しました。

Posted by: NARU | 2005.03.04 at 08:27 PM

NARUさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
少年探偵のシリーズ、本当におもしろいですよね。たくさんの子どもたちに読んでもらいたいと思っています。
ハードカバー、わたしも何冊か買ってしまいました。待っていてもよかったかもしれませんね。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

Posted by: とも | 2005.03.05 at 06:51 AM

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