『回転する世界の静止点』 パトリシア・ハイスミス
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著者:パトリシア・ハイスミス /宮脇孝雄
出版:河出書房新社
ISBN:4309204252
発行:2005年 01月
価格:2,400円 (税込:2,520円)
採点:3.5点
[帯]
パトリシア・ハイスミス単行本未収録作品集1
追いつめられた人間は
心に何を感じるのか?
ミステリの鬼才ハイスミスの仮借なき心理描写の真髄を示す傑作短篇集!
[あらすじ]
列車から降り立った青年は、田舎町の静かな佇まいに惹かれ、新しい生活の第一歩を踏み出す。都会とは違う人々の温かみに感謝しながら。だが、たった一つの過ちが彼の心の平穏を乱し始める……。
[感想]
1938年から49年までの単行本未収録作を集めた短篇集である。初期のものばかりだが、いずれの作品でも心理描写は精妙で、小さな出来事が実にスリリングな物語に作り上げられている。以下、いくつかをピックアップして紹介する。
「素晴らしい朝」
主人公の心をとらえた美しい町。それが、ある出来事によって彼の目には全く違うものに写るようになる。小さな疑問が次第に膨らみ、暴走を始める青年の心理描写が見事。
「不確かな宝物」
古びた鞄に執着する浮浪者の物語。妄想が主人公を突き動かしていく様子が、緊迫感を盛り上げる。
「魔法の窓」運命の出会いを信じる孤独な男性が、“魔法の窓”のあるバーで一人の女性と巡り会う。現実を突きつけられるラストの喪失感がたまらない。
「ミス・ジャストと緑の体操服を着た少女たち」
訪問客のためにとびきりの演技を披露しようとする教師と、異常なまでに厳しい指導に耐える少女たち。いよいよ本番となったときに起きる予想外の出来事。ラストの少女たちの姿に、両者の温度差が凝縮されている。
「カードの館」
贋作だけを蒐集する男性は、音楽を愛せないピアニストに自分の秘密を打ち明ける。夢はあっけなく崩れるが、そこから生まれる小さな希望に心が温まる。
「自動車」
故郷を遠く離れて新婚生活を始めた夫婦。自動車の扱いから始まった小さな不満が膨れあがっていく描写が優れている。
「回転する世界の静止点」
小さな公園にやってくる二組の親子の物語。互いを意識しながら距離を保つ二人の女性の関係が興味深い。無邪気に戯れる子どもたちとの対比がアクセントとなっている。
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