『ルネサンスへ飛んだ男』 マンリイ・ウェイド・ウェルマン
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著者:マンリー・ウェイド・ウェルマン /野村芳夫
出版:扶桑社ミステリー
ISBN:4594048757
発行:2005年 01月
価格:762円 (税込:800円)
採点:3.5点
[帯]
驚天動地のタイムトラベル×
血湧き肉躍る歴史冒険絵巻!
意表をつく奇想と、精緻な時代考証で描く、
名匠マンリイ・ウェイド・ウェルマン、幻の代表作
[あらすじ]
青年レオ・スラッシャーは、時を超えて違う時代に自分を投影する時間反射機を発明した。友人の眼前で実験を行い、彼は15世紀のフィレンツェの町へ移動することに成功したが、着いた先は異端崇拝者たちの集会の只中。儀式を取り仕切る妖術師によって、レオは囚われの身となってしまう。
[感想]
読み終えて、なるほどこのアイディアのために書かれたのかと素直に頷ける作品である。タイムトラベルものは数多くあり、様々な手法で読者を楽しませてくれるのだが、プロット自体はシンプル。張られた伏線が一点に集中しているという点で、すっきりとまとまった仕上がりになっている。
ルネサンス期というとあまり身近で語られる時代ではないが、史実や生活の様式、芸術・文化に関する記述には原註がつけられており、主人公の青年が、未来人としての知識と経験を生かして危機を乗り越えるところも十分楽しめるよう配慮されている。また、史実とのずれが生じないように、主人公にはタイムトラベルによる記憶障害を持たせ、妖術師には催眠術による記憶の再現をさせている。事実と虚構とのバランスをどのように取るか、その手法を読み取るのもおもしろいだろう。
惜しいのは、妖術師の奴隷となっている少女の造形に深みがないこと。そのため主人公とのロマンスが今ひとつ盛り上がらず、着想を支える材料の一つが、十分に効果を上げていない。ネイサンの『ジェニーの肖像』、デヴローの『時のかなたの恋人』くらいの想いを読み手に伝えてほしかった。
なお、この作品は、出版・雑誌掲載時に変更が加えられており、翻訳にあたっての苦労があとがきに詳しく紹介されている。また、修正しきれない部分については巻末に異なるバージョンが付録として収められている。読者としては大変ありがたいことである。
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