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2005.02.23

『シシリーは消えた』 アントニイ・バークリー

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著者: アントニイ・バークリー /森英俊
出版:原書房(ヴィンテージ・ミステリ・シリーズ)
ISBN:4562038713
発行:2005年 02月
価格:2,400円 (税込:2,520円)
採点:4.0点

[帯]
 黄金時代のまさに〝幻の逸品〟
 著者の死後発掘された
 ロマンスあふれる本格推理!
 「ひとを消すことができる、とびっきりの呪文があるんだ」
 余興に始めた降霊会のさなか、若い女性がほんとうに〝消えて〟しまう。
 やがてある不可解な事実が浮かび上がって二転三転……。

[あらすじ]
 財産を使い果たして従僕の仕事に就くことになった青年・スティーヴン・マンローは、勤め先の屋敷で事件に遭遇する。屋敷の女主人の姪・シシリーが降霊会の最中に突然部屋から消えてしまったのだ。スティーヴンは招待客の一人で元恋人・ポーリーンとともに消えたシシリーを探し始めるのだが、事件はさらに複雑な様相を呈してくるのだった。

[感想]
 バークリーの作品を読むたびに思うのは、人物の描き方が実に好ましいということである。名探偵ロジャー・シェリンガムはもちろん、『第二の銃声』の語り手といい、この『シシリーが消えた』のスティーヴンといい、読者にいかに好感を持たせるかという点で、バークリーの筆力は際だっている。加えてテンポよく巧みなストーリー展開は、書かれたのが1927年という遙か昔であっても今なお読者を引き込み、楽しませてくれる。

 まず、主役のスティーヴンには、貴族から従僕へという少々気の毒でユーモラスな設定をし、慣れない仕事での失敗で楽しませてくれる。続いて偶然招かれた魅力的な元恋人を登場させ、いくつかの障害を配置して二人の恋の成り行きに読者の興味を引きつける。そうこうしているうちに降霊会での人間消失、謎の手紙、殺人事件と謎は次々に提示され、読者はページを捲る手を休める暇もなくなってしまうのである。

 人間消失を始めとして個々の出来事を見たとき、トリックに関してはさほど奇抜なものはない。だが、構成が巧みであるため、それらが実際に事件として現れたときに、それぞれが謎めいて見えてしまうのだ。犯人の目論見と探偵の行動、そこに偶然の状況が重なって、不可解な事件が展開する。驚くような結末はないが、この複雑な事件がすっきりと解決されるエンディングは読んでいて気持ちのよいものである。

 『シシリーが消えた』がどれほど貴重な作品であるか、没後の発見や現存部数の少なさなどその詳細は解説に書かれているが、単に珍しいだけでなく、読んで楽しめる作品であることが嬉しい。海外ミステリや、古典と呼ばれる作品にふれたことのない方にもこれならば十分楽しんでいただけるだろう。

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Comments

こんにちは 聖月(みづき)と申します。
旧サイトでは、一度ご挨拶したこともありましたが、あらためましてm(__)m

で、このサイトで本書『シシリーは消えた』の発売を知り、早速読んだ次第です。
いや、これは良書ですね。ほどよいユーモアも楽しかったし。
よく幻といわれる作品は、面白くなかったから幻になったりするのですが(笑)、これは幻の名作でした。
発売を知ったご紹介に感謝し、TBさせていただきますね。

Posted by: 聖月 | 2005.03.21 at 07:37 AM

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