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2005.02.19

『ウィスキー・サワーは殺しの香り』 J.A.コンラス

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著者:J.A.コンラス /木村博江
出版:文春文庫
ISBN:4167661918
発行:2005年 02月
価格:686円 (税込:720円)
採点:3.0点

[帯]
 ハードボイルドでコミカルなヒロインの登場
 女警部補ジャック・ダニエルズ

[あらすじ]
 コンビニエンス・ストアのごみ箱から若い女性の惨殺死体が発見された。切り刻まれた身体の傍らにはジンジャーブレッドマンと名乗る犯人のメッセージ。捜査を任されたジャクリーンは相棒のハーブとともに地道に手がかりを追うが、犯人の魔手は彼女にも伸びつつあった。

[感想]
 国内向けに翻訳された作品に限っての話だが、『羊たちの沈黙』の映画化から一時期はやった猟奇殺人ものもだいぶ数が落ち着いてきている。近年は、犯人の異常さを強調するだけでなく、捜査する側に工夫を加えたり、設定に奇抜な発想を取り入れたりと、これまでの作品とは違った魅力を加えようとする方向が見られるようになってきた。では、この『ウィスキーサワーは殺しの香り』はどうだろうか。

 主人公の女性警部補・ジャック・ダニエルズは合格点。タフで正義を愛するキャラクターとして十分印象的である。離婚歴があり、自分には仕事だけしか残されていないと気落ちしているが、不眠症に悩まされながらも着実に犯人を追いつめていくねばり強さには好感を持つことができる。また、相方となる大食漢の刑事がよい味を出している。その食べっぷりが豪快で、人の食べ残しの病院食まで平然とたいらげる。ベーグルやらピザやらどうということのないものも、幸せそうにお腹に入れてしまうのは読んでいて気持ちよいほど。さりげないサポートが実は頼りになる。だが、残念なことに犯人のジンジャーブレッドマンの方は異常さと狡猾さのバランスが一定していないという印象を受ける。展開に合わせるかようにキャラクターが変わってしまい、序盤の不気味さが最後まで持続しなかったところは惜しい。

 犯人側、警察側と両面から物語を進めていく展開はテンポがよく楽しめる。ユーモアに溢れているというほどではないが、少なくとも血なまぐさい事件とのバランスをとる程度の安定感も感じられる。ジャックを主人公とした次作『ブラディ・メアリー』も書き上がっているということなので、もう一作読んでみてもよいだろう。

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