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2005.02.17

『鏡姉妹の飛ぶ教室』 佐藤友哉

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著者:佐藤友哉
出版:講談社ノベルス
ISBN:4061824147
発行:2005年 02月
価格:970円 (税込:1019円)
採点:3.0点

[帯]
 これぞ、佐藤友哉。
 戦慄の〈鏡家サーガ〉最新作!
 あの『クリスマス・テロル』から三年。おかえりなさい、佐藤友哉!

[あらすじ]
 大地震で液状化した地盤は、青葉中学校を地底深く引きずり込んだ。生死を分ける一瞬を何とか生き残った鏡家の三女・佐奈は、妹を捜し地上へと脱出しようとする。だが、校内には「闘牛(トロ)」と呼ばれる怪物が徘徊し、それを狙うハンターとの間で壮絶な戦いが繰り広げられていた。

[感想]
 あふれ出す言葉と超人同士の激しい戦い。物語は書き出しからサバイバル・ストーリーである。

 『不思議の国のアリス』をモチーフにしたこの作品の中で、主人公・鏡佐奈の日常は非日常へと変貌を遂げる。考えられないような展開(ほとんどが災難)が次々と彼女に降りかかる。鏡家の兄妹といえば、これまでの作品でそれぞれ強烈な個性を持っていたが、佐奈は取り立てて特徴のない普通の中学生。その彼女が危機的状況の中で、どのように行動し、どのように変わっていくのかがテーマの一つ。

 最強を自負してマシンガン・トークを炸裂させる少年、「本気の本気」があれば人は何でもできると信じる少女、選ばれた者だけが勝者だと豪語する超一流のハンター。突然の非日常に影の薄かった少年はパニックを起こし、痛覚のない究極の身体を持つ怪物は痛みを知るために猟奇的な殺戮を続ける。目的のためにはどんな障害も排除する自己中心的な登場人物たちが、戦いの中で何を感じ、何を得ていくのか。個性的、というよりもそれぞれどこか壊れてしまっているのだが、そんな彼らが一つの目標を得て変容していく終盤の展開が興味深い。

 繰り返される言葉「本気の本気」は登場人物に向けられるだけでなく、作者自身に向けられたもののように思える。この熱さが、佐藤友哉ファンだけでなく新しい読者にも伝わることを期待したい。次作でもきっと、本気を見せて楽しませてくれるに違いないから。

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