『松浦純菜の静かな世界』 浦賀和宏
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著者:浦賀和宏
出版:講談社ノベルス
ISBN:4061824139
発行:2005年 02月
価格:880円 (税込:924円)
採点:3.0点
[帯]
「私には分かるよ。あなたの気持ちが。
殺したい奴って、確かにいるもの」
いま日本で最も戦闘的な作家の最新作。
[あらすじ]
暴漢に襲われ、重傷を負った純菜は、強盗の放った銃弾をかわした奇跡の男・八木剛士と出会う。二人は協力して行方不明となっている純菜の友人を探すこととなるが、町では女子高生を狙った殺人事件が連続して起きており、二人の身にも危険が迫るのだった。
[感想]
心に癒せぬ傷を持つ男女が、事件を通して生きる力と自信を取り戻していく。
浦賀和宏は前作『透明人間』でも、同様のテーマを扱っている。孤独な女性が閉鎖状況の研究所内で殺人事件に巻き込まれるというもので、いくつもの危機を脱した主人公が自分の生きる意味を見いだしていく姿が心を打つ作品であった。特に、タイトル通りの「透明人間」というSF的な要素とミステリの王道である密室トリックを融合させ、幻想的な結末に運ぶ展開は読み応えがあった。
生きる力、自信へと物語を運ぶ牽引力を見るならば、『松浦純菜の静かな世界』よりも『透明人間』の方が勝っているだろう。純菜が必死になる理由がなかなか明らかにならないこと、剛士の妹に対する心情にもう一歩踏み込みがほしいことなど、惜しい部分はある。しかし、今回の作品は猟奇殺人鬼に都市伝説を絡めたもので、主人公の造型を含めて物語にさまざまな謎を織り込んでいるところはおもしろい。警察側の捜査は全く触れられていないが、純菜という少女を配置することで、否応なしに事件に巻き込まれていく状況を設定している。また、プロット自体は珍しいものではないが、一見不可解な事柄の一つ一つに筋道の通った決着がつけられているところもよい。犯人側の描写を加えるなど、テンポよく読ませる工夫もされており、気軽に楽しめる作品となっている。
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