『QED 鬼の城伝説』 高田祟史
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著者:高田崇史
出版:講談社ノベルス
ISBN:4061824090
発行:2005年 01月
価格:820円 (税込:861円)
採点:4.0点
[書き出し]
七月後半の薬局は忙しい。
子供たちが夏休みに入り、家族揃って海やプールに出かける頃になると、一気に子供の病気が増える。
[帯]
桃太郎に虐げられし、鬼たちの慟哭が聞こえる。
「QED」シリーズ第九弾!!
[あらすじ]
吉備津神社に伝わる鳴る釜神事。鳴れば吉という伝えとは逆に、不吉を告げる釜が鬼野辺家にあった。鳴るたびに当主は命を落とす――。そして、結婚を間近に控えた鬼野辺家の長男・健爾の首が土蔵の中で発見された。
[感想]
歴史の謎と不可解な事件とを絡めたQEDシリーズの9作目。シリーズ外の『鬼神伝』を含め、「鬼―人」の関わりについては一貫して触れられてきたが、今回は鬼ノ城、桃太郎伝説と鬼退治にまつわる伝説をストレートに取り上げた作品となっている。
密室となった土蔵の中で発見された生首。鳴ると不吉なことが起きる釜。そして再び起きる謎の死――。魅力的な謎が序盤から提示されるところが嬉しい。歴史ミステリでは、謎解きと歴史の解釈とのバランスが難しいところだが、このシリーズでは毎回どちらに関しても工夫が凝らされている。特に今回は、ダイイングメッセージの扱いがおもしろく、一見奇抜でありながら、それを違和感なく処理しているところを評価したい。
歴史の中で消えていった人々の思いが文字や言葉、今に残る様々な事象の解釈によって明らかにされていく。通常では考えられない不可思議な出来事、心の動きが「そんなはずはない」から「あり得なくもない」、「そうかもしれない」へと変わっていく。この変容の過程が実に楽しい作品である。
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