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2005.01.05

『しずるさんと底無し密室たち』 上遠野浩平

kadono01

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著者:上遠野浩平
出版:富士見ミステリー文庫
ISBN:4829162848
発行:2004年 12月
価格:540円 (税込:567円)
採点:4.0点

[帯]
 しずるさん大推理!
 よーちゃん大活躍の巻

[あらすじ]
 白い花の中に埋もれ、養分を吸い取られたようにミイラ化していた死体。だが、彼は半日前まで元気な姿を見せていたという。病室の少女と、彼女を見舞いに来る少女。二人の会話で解き明かされる、奇妙な事件の数々。

[感想]
 現場に行かずとも、情報提供者の言葉だけで謎を解き明かす――。安楽椅子ものというのは、推理過程はほとんど動きがなく、会話や心内描写が中心なだけに、序盤に提示される謎が奇妙であるほどおもしろい。できれば謎はあり得ないほど怪奇で、手がかりは言われれば分かる程度で、真相は拍子抜けするほど簡単で落差があるか、逆にあり得ないほどインパクトがあると嬉しい。この短編集は、そんな読者のわがままな思いを十分に満たしてくれる本である。半日でミイラ化する死体や、凍り付いたまま空を滑空してきた死体、同時に何カ所かで目撃され、それぞれが踊っていたり寝ていたり、死んでいたりしたなどという事件は、そうそう読めるものではない。

 もう一つ、キャラクタの造形も工夫されている。登場人物にも謎があり、しずるさんは長期間入院を続けているが、その病気や状態については謎に包まれている。また、よーちゃんと呼ばれる少女は、名字が伏せられているが何か事情があるらしい。置かれた立場は少々変わっているが、この二人の会話を読むと、どちらも素直で優しく、好感の持てる人物であることが分かる。役割も明確で、不思議な事件を読者に手渡すには絶好の人物設定である。

 表紙の少女の背中に翼が生えているとか、どうしてゴシックロリータの服装なのかとか、コバルト文庫の近くに行かないと買えないとか、様々な思いはあるだろうが、子どもから大人まで、安心して読んでいただきたい作品である。

[収録作品]
「しずるさんと吸血植物」「しずるさんと七倍の呪い」「しずるさんと影法師」「しずるさんと凍結鳥人」

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