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2005.01.03

『風船爆弾を飛ばしそこねた男』 野崎六助

nozaki01

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著者:野崎六助
出版:原書房 ミステリーリーグ(ハードカバー)
ISBN:4562038543
発行:2004年 12月
価格:1,800円 (税込:1,890円)
採点:3.0点

[帯]
 作家北斗流星は歴史の闇に葬られ、「伝説」も消えた
 旧日本軍の機密に触れ、失意の死を遂げた流行作家・北斗流星。
 また後年、彼の伝記作家は失踪し、その文書「北斗流星伝説」は
 長く封印されていたという。
 数十年ぶりに解かれた「伝説」にはいかなる「真実」が――。

[あらすじ]
 大学の研究室の地下から、幻の作家・北斗流星を研究した記録文書が発見された。戦時中の機密「風船爆弾」に触れたために文壇を追われ、忘れ去れれた作家である。また、彼を研究対象とした大学教授もまた謎の失踪を遂げていた。新人評論家の主人公は手記を手に取るが、その夜、何者かによって資料は奪われてしまう。残された一冊の手記が語る、北斗流星の真の姿とは――。

[感想]
 旧日本軍の風船爆弾、歴史から葬り去られた作家、失踪した教授……。タイトルから受けるイメージは謀略ものだが、読み進めると少々違った印象を受ける。

 内容のほとんどは作家・北斗流星に関わる手記・資料とそれを分析する主人公の語りで、風船爆弾自体についてはあまり触れられていない。スケールの大きな謀略小説でもなければ、もしこんなことが起きていたらという史実の隙間を想像させる歴史ミステリでもないのだ。流星が何を書き、なぜ消え去っていったのか、調査が進むほど、彼を取り巻いていた状況の複雑さが明らかになってくるという展開になっている。

 消えた作品、手記の真実性と、興味深い謎は次々と提示されるため、主人公がああでもない、こうでもないと推測する部分は楽しめる。特に北斗流星ともう一人の作家と、互いの心理が紐解かれていく様などは実に読み応えがある。だが、その一方で付随して起きる事件の処理にはもう一工夫ほしい。風船爆弾を含め、提示された謎が比較的大がかりなものであるだけに、読者としてはそれに見合うだけの結末を期待してしまうのだ。

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