『ピピネラ』 松尾由美
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著者:松尾由美
出版:講談社文庫
ISBN:4062749726
発行:2005年 01月
価格:695円 (税込:730円)
採点:3.5点
[帯]
「ピピネラ」という言葉を残して夫が消えた……。
夫を捜す旅に出た「私」には、
人に言えない秘密がある。
誰にだって、そんな秘密はある。
大幅加筆修正、心に染みるエンターテインメント
[あらすじ]
夫が失踪した。残された背広のポケットから一枚のメモが見つかったが、そこには「ピピネラ」という謎の言葉が書かれていた。「私」加奈子は夫が最後に目撃された上野を出発点に、行方を追う。しかし、彼女は身体が縮んでしまうという奇妙な現象に悩まされていた。
[感想]
家に入ると身体が縮んでいくという誰にも言えない秘密を持った女性を主人公とした物語。素材自体はファンタジーに分類されるのだろうが、これは自己発見の物語である。
身体に起きる不思議な現象に悩みながら、ようやく慣れた毎日の生活。夫を送り出し、買い物をし、食事を作るという平凡だが穏やかな日々が、突然の夫の失踪で終焉を迎える。加奈子はいつ小さくなるか分からないという危機感を持ちながらも、自らを奮い立たせて夫の行方を追う。外に出ることにも抵抗感を持っていた主人公が、友人の協力を得ながら次第に力強く歩み始める姿に、声援を送りたくなる。
身体が縮む現象の理由、夫の失踪の事情、ピピネラという言葉の意味が一つにつながったとき、加奈子の自分探しの旅は終わる。ミステリ好きの習性で、すべての謎に答えを求めたくなるのだが、この作品では不思議が説明されることよりも、主人公がこれからどうなるのかと、そればかりが気になった。明るい未来を予感させる結末に好感が持てる。元気のないときには、こんな小説を手に取ってみるとよい。自信を取り戻していく主人公から、一歩踏み出す勇気を分けてもらえることだろう。
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