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2005.01.19

読書好きな子どもに育てよう

松尾由美『ピピネラ』を読み終わりました。失踪した夫を捜す女性の物語ですが、彼女は何かのきっかけで身体が縮んでしまうという不思議な現象に悩まされています。ファンタジーではありますが、よくある魔法ものではありません。1997年の作品に、大幅加筆して文庫となったものです。おもしろかったですよ。

 今朝の新聞に、文科相が総合学習の削減も視野に入れた発言をしたとの記事が出ていました。「私は国語と数学にもっと力を注ぐべきで、特に国語の力がすべてだと思っている」という考えには賛成です。

 子どもたちの読む力、書く力は確実に落ちていますが、それを引き上げるだけの時間がないのが現状です。新しい指導要領になり、国語の時間はずいぶん減りました。教科書会社も対応に苦慮しているようで、現行のある教科書では、「ごんぎつね」や「大造じいさんとガン」のような名作も、選択教材となっています。こうした作品にふれずに、小学校を終えてしまうというのも悲しいことです。

 思いついたので、以前みすべすに掲載した「読書好きな子どもに育てよう」をこちらの方にもアップしておきます。今から7年前、サイトを作ったときに書いたものです。

「読書好きな子どもに育てよう」

子どもを読書好きにするにはどうしたらよいかな、と悩んだ方に。

 

 最近、「読書離れ」という言葉をよく聞きます。98年の調査では、1ヶ月に本を1冊も読まない人が50%を越えたということです。読書は心の栄養、そして知能の発達にも欠かせないもの。そこで、「読書好きの子にするために」どうしたらよいか、ということを考えてみました。

 一昔前は、『坊ちゃん』や『吾輩は猫である』など子ども向けに編集された日本文学のシリーズがありましたが、最近の小学生にそれを読むことは難しいのが現状です。まして、『二年間の休暇』や『レ・ミゼラブル』などの海外文学など見向きもされません。読書をする習慣自体が失われつつあるのです。というのも、読書に対する意識が低下し、興味・関心が他のものに移っているためです。

読書好きにする方法

1 読み聞かせをする。
 小さくて字が読めなかった頃、お父さんやお母さんにお話を聞かせてもらった記憶はありますか?物語を聞いて、場面を想像したり、次はどうなるのかとどきどきしたり。知っている物語でも、何度も聞いて結末に安心したりしませんでした?読み聞かせというのはいつの時代でも大切なことなのです。毎晩お父さんやお母さんから聞く話で、子どもは頭と心を成長させていくのです。

2 お父さん、お母さんが読書をする姿を子どもに見せる。
 子どもは親の姿を見ています。お父さん、お母さんが本を楽しそうに読んでいると、子どももまねをしてみたくなるものです。文化的な側面を持った生活は、情操を育て、向上心を育てます。「知識を得ようとする行為」を見ることが、人間の生活の豊かさ、美しさを伝え、心を育てるのです。

3 子どもを図書館や本屋に連れていく。
 学校に行って自分で探しなさい、と言うのはだめです。よい本を教えない、本の探し方を知らせない、このような状態では、子どもは自分で探そうという気も起きません。お父さんや、お母さんが時間を作って、図書館や本屋に行くことが大事です。こんなにたくさん本があるんだよ、楽しい話はいっぱいあるよ、きみの知っていることなんて、世の中のほんのこれっぽっちなんだよ、と体験させることが大切なのです。自分の知識や常識、世界の狭さを知り、より広い世界を見いだそうとする心を育てるのです。大量の本を見、自由にさわることで新しい世界が目の前に開ける喜びを味わう、それをお父さん、お母さんがしてあげることで、子どもは親の偉大さ、文化のすばらしさ、知識欲というものを知ることになるのです。ただかわいがったり愛情を持って接するだけでは足りません。文化を伝えること、より優れたものや事柄に触れさせ、よりよい生き方を教えていくこと、これは子育ての中でとても大切なことです。

4 おもしろい本を教える。
 (そのためには、情報を入手し、自分で必ず目を通すこと)
 自分が子どもの頃に読んだ本を紹介することで、子どもはお父さん、お母さんの子どもの頃のことを想像し、一体感や共感を覚えるます。同時に、一つの物語を通して親子の会話を成立させ、新しい作品へと継続する興味をもたせます。これは、親の知識を伝えてもらう喜びを味わい、信頼感や文化への愛着を育てることにもなります。めんどうでも、お父さん、お母さんは楽しい本を探しましょう。そして、必ず読んで、読んだ後で子どもと語り合えるようにしておきましょう。自分の子どもに合う本は、親がいちばんよく分かるのです(そうでなければおかしいですよね)。あなたは自分の子どもがどんな本を読んでいるか、知っていますか?

読書の効能

1 知識の広がり
 本が読める、というのと、自分から読書をする、というのとはまったく違います。読んでいる子と読んでいない子では、差が生まれます。単に知識の広がりだけでなく、知識欲に差が出るのです。テレビや、ラジオなどと違い、文字を読むという行為は能動的でなことですから、習慣として身につけることが、さらに子どもを伸ばしていくのです。

2 文章に対する理解力の発達
 文章理解というのは、あらゆる場面で行われますが、この理解力が育つことは、学校においては各教科に表れ、社会人になれば、日々の仕事の成果や達成時間にも影響します。情報のインプットの差は、目に見えなくても大きな違いになっていくのです。

3 表現力の向上
 人と人との関わりの中で、自己を表現するのは大変重要なこと。言葉、言い回しを知っているということはとても大切なことなのです。そして、表現のTPOをわきまえるためには、読書は実に効果的です。

4 心の成長
 読書というのは、自分の体験していないことを体験できる、すばらしいことだと思います。主人公とともに、喜怒哀楽を感じることで、よりよい性格、行動、そして生き方を知ることができます。感情が豊かになり、そのコントロールの方法を知り、人生のさまざまな場面で気づかないうちに応用することができます。わたしは、これがいちばん大切な効能ではないかと思っています。

 では、具体的にどのような本を紹介したらよいか、ということですが、Mystery Best ???らしくミステリ系のものから選択しましょう。といっても、子ども向けの本は、ミステリの要素が入っているものが多いのです。読んで楽しい、興味が持てる、ハラハラする、そういうことを考えれば当然ですね。

 

『ふるやのもり』
 泥棒と狼が狙う家。中では、世の中でいちばん恐ろしいものは何か、おじいさんとおばあさんが話をしている。子どもにとって、驚愕のラストが待ち受ける名作。これはミステリの基本。

『とんことり』
 見知らぬ町に引っ越してきた女の子。引っ越しのその日に、郵便受けに花が入っていた。その次の日にもまた、別なプレゼントが…。郵便受けに入れてくれるのは誰なのか、何のために入れているのか、ラストがさわやかなすばらしい絵本。

『大どろぼう ホッツェンプロッツ』プロイスラー
 間の抜けた大どろぼうが大活躍する物語。笑える場面が多く、本を読む楽しさを堪能できる作品。ドイツの優良図書に選ばれたこともある名作。続編あり。

『グリックの冒険』斉藤惇夫
 町のリスが、野生のリスの住む北の森を目指して旅立つという話。盛り上がる場面を各所に配し、友情、信頼など人間の美しい心をさりげなく伝える感動のアドベンチャー。『冒険者たち』『ガンバとカワウソの冒険』と三部作になっており、どれも質が高い。

『誰も知らない小さな国』佐藤さとる
 小さな小さな人、コロボックルを探す話。主人公とコロボックルが、どのようにして出会うのか、その部分だけでも実におもしろく、どきどきしながら読める名作。

『ライオンと魔女』ルイス
 「ナルニア国ものがたり」として有名なシリーズの第1作。衣装箪笥を開けてみると、その向こうには不思議な世界が広がっていた、という子どもの夢をそのままに広げるファンタジー。『カスピアン王子のつのぶえ』『朝びらき丸 東の海へ』等に続いていく。

『怪人二十面相』江戸川乱歩
 言わずとしれた乱歩の少年探偵団シリーズ。次々に不思議な事件を起こす二十面相を相手に、小林少年と明智小五郎が大活躍を繰り広げる。ミステリの世界への第一歩としてはよい作品。謎、事件、対策、どんでん返し、推理、解決とミステリの醍醐味が子どもにも味わえ、推理の面白さと盛り上がりを肌で感じることができる。

『赤毛連盟』ドイル
 名探偵シャーロック・ホームズが活躍する物語。赤毛の男だけを、好条件で雇う謎の会社。そして起こる不可解な事件。論理の展開が子どもにとって驚きとなる作品。ホームズの名推理はこの他多くの作品でも読むことができる。

『813』ルブラン
 名探偵ホームズと人気を二分する怪盗ルパンの物語。変幻自在、堅牢な牢獄も頭脳で脱獄するとんでもない大泥棒。しかし、紳士的なところに読者は惹かれてしまう。『奇岩城』とこの『813』がおすすめ。

『ドリトル先生航海記』ロフティング
 動物と話をすることができる医者、ドリトル先生を主人公にした名作。レックス・ハリソン主演でミュージカル映画化されたこともある。主題歌はアカデミー賞受賞。映画と併せて読書の世界を味わい、生き物に対する愛情と、冒険の楽しさを知ることができる。

『ミス・ビアンカシリーズ』
 ねずみのミス・ビアンカが困った人たちからの伝言を受け取り、助け出す物語。冒険、活劇、スリル満点のシリーズもの。ディズニー映画にもなっているが、原作ははるかにおもしろい。

『消える総生島』はやみねかおる
 三つ子の姉妹と、とんでもない迷探偵が活躍するシリーズ。講談社青い鳥文庫から出ています。ミステリファンが読んでニヤリとするような部分がたくさん詰まった作品。作者のはやみねかおるは、小学校の先生。

『旅の絵本』
 旅の場面をかいた絵本。でも、景色の中をよく見てみると、どこかで読んだような話の場面があちらこちらに隠されている。いくつ見つけられるか、それがまた楽しみな絵本。

そのほか、『名探偵カッレくん』『少女探偵ナンシー』『ゴジラ、東京にあらわる』『アイドルは名探偵』など、楽しい本はたくさんあります。

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