『ボランティア・スピリット』 永井するみ
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著者:永井するみ
出版:光文社
ISBN:4334738133
発行:2005年 01月
価格:571円 (税込:600円)
採点:4.0点
[帯]
善意と偽善の間で揺れる人々……
「読者はまずその衝撃にゾクリと身体を震わせることになる」藤田香織(書評家)
[あらすじ]
市民センターの一角で開かれる日本語講座には、毎週多くの外国人労働者が参加する。。ある日、参加者の青年が放火の疑いをかけられ、事情聴取を受けることとなった。勤務態度も良好で、誠実と評判の青年がなぜ――。リストラで居場所をなくし、ボランティアとして講師を始めた山崎は、青年の職場を訪れた。
[感想]
日本語講座の講師と参加者の周囲で起きるさまざまな出来事を描いた連作短編集である。小さな誤解から、善意の心の中に疑問が生まれる。それは次第に大きくなり、昨日まで分かり合えていたはずの信頼が失われていく。
生まれた国、言葉、肌の色や顔かたちが違いが心のつながりにどれほどの影響を与えるのか。登場人物の不安のほとんどは自分自身の意識の問題である。事件が解決され、不安が取り除かれた後にぽっかりと空いた心の隙間。それを見つめることで、彼らは改めて自分の心の有り様に気付く。そして読者は、登場人物一人一人がその隙間をどのような気持ちで埋めていくのだろうと想像しながら、「ボランティア・スピリット」とは何かを考えさせられることになる。温かく、柔らかな文体の中に、深い内容を含んだ優れた作品である。
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