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2005.01.17

『もつれ』 ピーター・ムーア・スミス

smith01

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著者:ピーター・ムーア・スミス /伏見威蕃
出版:創元推理文庫
ISBN:4488196020
発行:2004年 12月
価格:1,300円 (税込:1,365円)
採点:4.5点

[帯]
 悪夢のようなサスペンス,デビュー作にして傑作!
 もつれた糸がほぐれていくとき
 その先に見えてくるものとは……?

[あらすじ]
 サイコロジストのキャサリンは、パイロットという統合失調症の青年を担当することとなった。だが、彼の心の中には、20年前に起きた妹の失踪事件が暗い影を落としていた。脳外科医の兄、二重にものが見えるという母親、そしてパイロット。この家族に何が起きたのか。秘められた謎は記憶の糸によってゆっくりと手繰り寄せられていく。

[感想]
 心の病に冒された青年の目を通して語られる幻想的なミステリ。しかしその内容は重厚で、心揺さぶられる。

 物語はパイロットという名の青年が、母親の目の疾患をきっかけにエピソードと呼ばれる発作的な症状を起こすことから始まる。彼の記憶は20年前に遡り、妹が行方不明となったパーティーの晩の様子が鮮明に蘇ってくる。子どもの視点はいつの間にか神の視点となり、その場にいないはずの出来事までも青年は語り続ける。どこまでが真実なのか、そして青年は現実を認識しているのか。悪夢はいつの間にか読み手の心までも捕らえてしまう。

 消えた少女とその姿を瞼に焼き付けた兄。二転三転する物語に興味は尽きることなく、真相の衝撃には寂寞の感を禁じ得ない。リチャード・ニーリィの迷宮に、トマス・H・クックの叙情を加えたような印象を受けた。兄弟・親子・夫婦の絆が一つの事件から縺れ、絡み合い、解れていく様をじっくりと読み味わいたい作品である。

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