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2005.01.02

『春期限定いちごタルト事件』 米澤穂信

yonezawa01

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著者:米澤穂信(作品一覧)
出版:創元推理文庫
ISBN:4488451012
発行:2004年 12月
価格:580円 (税込:609円)
採点:3.5点

[帯]
 特別書き下ろし作品
 そしていつか掴むんだ、
 あの小市民の星を。
 小市民を目指す小鳩君と小佐内さんのコミカル探偵物語
 『さよなら妖精』の米澤穂信が放つ待望の新作ミステリ

[あらすじ]
 船戸高校に入学した小鳩常悟朗は、日々の平穏と安定のため、友人の小佐内さんと協力して目立たず騒がず小市民の生活を目指す。ところがある日、旧友の堂島健吾から行方不明のポシェットを探してほしいと頼まれ、やりたくもない探偵役を引き受けてしまう。美術部に残された2枚の絵の秘密、道具不足のおいしいココアの作り方、試験中に突然割れたガラス瓶……。次々と起こる事件に翻弄される2人は、はたして理想の小市民になれるのだろうか。

[感想]
 些細な出来事が当事者にとっては意外に大事であることがある。体面のためであったり、意地であったり、時には再起不能の絶望をもたらすものであることすらある。作者はそれらをさりげない描き方でクローズアップし、読者になるほどそれは気の毒にと感じさせる程度にとどめている。「小市民の星をつかむ」という探偵役の小鳩常悟朗の性格が作品にうまく生かされていると感じられるのはこの部分。探偵役と言うよりも、読者と同じ感覚でものを見、考える媒体となっているのだ。しかも一つ一つの事件をどのように解決するのか、一見消極的な言い訳をしながらも実は論理的な謎をこんな手順で解きましたと親切丁寧に解説しているところが巧い。性格付けについても、事件と聞けば名推理を披露したくなる生来の姿をひた隠しにしようとする必死の努力が何とも微笑ましく、無理して捻くれているところに思わず愛着を感じてしまう。

 『氷菓』が書店に並んだ日、他のラインナップとは少々違った表紙に惹かれて手にとった。以来、米澤穂信は気に入りの作家となっている。新しい作家を見つけ、その作家が次第に広く認められていくのを確認することは、一読者としてこの上ない喜びである。おそらくこれからも、米澤穂信は多くのミステリファンを楽しませてくれるに違いない。新人期間限定。追いかけるなら冊数の少ない今が絶好の機会。未読の方はお早めにどうぞ。

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