『聖なる怪物』 ドナルド・E・ウェストレイク
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著者:ドナルド・E.ウェストレイク/木村二郎
出版:文春文庫
ISBN:4167661888
発行:2005年 01月
価格:714円 (税込:750円)
採点:3.5点
[帯]
ミステリ界最大の巨匠による
80年代の伝説の名品、
ついに翻訳成る!
酒とクスリにおぼれる老優が半狂乱で語る狂騒の半生……ミステリっぽくないって?
最後まで読むとよろしい。本書は(たぶん)映像化不可能、れっきとしたミステリなのだ。
[書き出し]
「長くはかかりませんよ」
おおおおおおおお、おおおおおおおおおお、おおおおおおおおおおおお、
[あらすじ]
スカーレット・オハラの家にも似た邸宅の中庭で、語り始める老優ジャック・パイン。彼の最初の思い出は、親友バディーとともに、ガールフレンドとデートをしたときのこと。そして回想はハムレットの舞台稽古、ニューヨークへの旅立ちへと続いていく。
[感想]
老優ジャック・パインが語る波乱の人生。書き出しで分かるとおり、支離滅裂で、ある意味すがすがしいほどの壊れっぷり、跳びっぷりぶりを見せてくれる怪作である。
俳優を目指し、オーディションを受ける若き日々から、演劇界、映画界と幅を広げていく円熟期、そしてなぜかオスカーまで取ってしまうという晩年期まで、どこを切り取っても波乱の人生で、自己中心的かつ反社会的な生き様が語られていく。
語り手ジャックがたびたび意識不明に陥ったり、薬物で回復して内容が跳んだりと、読者は奇妙な酩酊感を受けながら読み進めることになるが、慣れてしまうとこの物語の秘密が気になってくる。はたしてどこまでが真実で、何が起きているのだろうかと。語っている時点で、ジャックはどのような状態なのだろうかと。特に不思議に思うのは、人生の端々に必ず登場する親友バディーの存在である。この人物はいったい何者なのか。これらの疑問は結末で明らかにされる。見事な壊れ具合は最後まで持続するので安心して読んでいただきたい。
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