『模像殺人事件』 佐々木俊介
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著者:佐々木俊介
出版:東京創元社
ISBN:4488012035
発行:2004年 12月
価格:1,600円 (税込:1,680円)
採点:4.0点
[帯]
誰が殺したか?
いかに殺したか?
問題はそんなところにはない。
八年間音信不通だった長男が二人帰ってきた。
山中に立つ“不吉のマヨヒガ”をめぐる真相は?
[あらすじ]
木乃家の長男・秋人が8年ぶりに帰ってきた。大怪我のため顔全体を包帯で覆って。だが、その二日後にもう一人の包帯男が現れ、自分こそ秋人であると名乗る。たまたま屋敷に足を踏み入れた探偵作家はそこで起きる殺人事件の目撃者となる。
[感想]
探偵小説の世界をそっと現代に持ち込んだ趣のあるミステリである。息子を名乗る二人の包帯男の登場やなど大時代な印象は受けるが、灰汁の強さはそれほど感じられない。千街晶之の解説にある通り、全体を通してひっそりとした雰囲気があり、古い作品を手に取ることのない読者にも抵抗なく読める作品となっている。
大掛かりなトリックが使われているが、これを作品の世界にとけ込ませている点が巧い。作者はまず外部の人物である探偵作家を登場させている。この偶然立ち寄った第三者の目を通して事件を語らせることで、人里離れた屋敷で起きる出来事を不可解な事件として読者に提示する。その上語り手である探偵作家は、作中ではすでに病死しており、彼の未完の小説とも遺書ともいえる作品を、探偵役の人物が読むという設定となっている。
これはまるで二重の窓越しに景色を見るような幻想的な印象を読者に与えるだけでなく、当事者と直接会えば入手できる情報を遠ざけ、不思議を不思議のままに結末まで持続させる効果を与えている。複雑怪奇な事象がある一つの見方で納得のいく結末へと帰結する美しさ。謎と真相の対比もこうした巧みなカモフラージュによって効果的に演出されているのだ。タイトルに込められた意味がじわりと浮かび上がるところで背筋が寒くなる。
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