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2004.06.28

おくやみ

 『破線のマリス』で江戸川乱歩賞を受賞した野沢尚さんが亡くなられたそうです。ドラマ「眠れる森」、アニメ「名探偵コナン ベイカー街の亡霊」などのシナリオを手がけられました。ご冥福をお祈りします。

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2004.06.27

『物狂い』 土屋隆夫 の書評に驚く 

 今日の読売新聞の書評で取り上げられていました。名作『天狗の面』と関わりがあることを知り、読みたくなりました。評者は翻訳家の深町眞理子。乱歩の話題から始まり、あらすじの紹介、作者のあとがきへとつながる書評は、短い中に作品の魅力、作者の歩みを凝縮し、読書欲をかきたてます。
 ネットではどのような評判なのか、検索してみました。いくつか見つかったのですが、別の新聞の書評を見て驚いてしまいました。

 (こちらですが、未読の方はご注意ください)

 どう思われましたか。わたしには、プロット、トリックとも肝心な部分が明かされているように見えます。わたし自身が未読なので、どの程度なのか正確な判断はできません。しかし、これでは作品のよさを伝えるどころか、ミステリとしてのおもしろさを損ねてしまっているように見えるのです。5月9日、東京朝刊とあるので全国版ではないのかもしれませんが、新聞の書評でこのように書かれてしまうのは、読者としてとても悲しいことです。

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ミステリマガジン 8月号

 昨日が発売日でしたね。今月のテーマは「幻想と怪奇」。暑い夏にはぴったりの特集です。以下、収録された短篇の感想です。

「呼びさますなかれ」 マンリイ・ウェイド・ウェルマン
 民間伝承の研究者が呪われた家の魔を祓う。での調査を行うという物語。映像化された作品を見てみたいもの。

「ただ一人の生存者」 ロッド・サーリング
 海原を漂う一人の男。救命ボートにはフジツボが張り付き、あるはずのない船名が書かれていた。落ちが予想できてしまうが、短い中に壮大なスケールを感じさせる作品。

「廃墟」 リン・A・ヴェナブル
 本も新聞も読む時間がない銀行員がつかんだ千載一遇のチャンス。最も切れ味のよい一編。ラストの恐怖は本好きならば分かるはず。絶望感が伝わってくる。

「人形」リチャード・マシスン
 詩人と彫刻家の夫婦には、子どもというたった一つの問題があった……。『ある日どこかで』のマシスンによるホラー。これも展開が予想できてしまうのだが、怪物のようにしか見えない子どもの描写が秀抜。

「地震を予知した少年」 マーガレット・セント・クレア
 毎晩テレビで未来を100パーセント当てる少年が、ある日出演を拒否する。知識のあるものについてだけ予言ができる、というところがおもしろい趣向。

「背後に聞こえる声」デイヴィッド・マレル
 つきまとう女学生に怯える大学教授の物語。現実と非現実との境が曖昧で、次第に心を蝕まれていく様子が巧みに描き出されている。

「頑固な死者」ロバート・ブロック
 死んだ翌朝、朝食に現れた祖父。決して死を認めようとしない頑固者への対処法とは……。『サイコ』の原作者による短篇。ナンセンスでほとんどコメディだが、状況を想像すると実に気味の悪い作品。語り手の少年の純真さが作品をうまく包み込んで、鮮やかな結末につながる。

 編集後記のT.Iさんのコメントは、電車の中でミステリマガジンを読んでいる人に話しかけたかったけれどできなかった、というものでした。短いけれど、関わった本を大切にする気持ちが伝わってきて、嬉しくなりました。もしわたしがその読者だったら、いつでも話しかけてほしいです。作者から読者まで、本に関わるすべての人と楽しさを分かち合いたいのです。

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2004.06.26

『妖奇城の秘密』 芦辺拓

 芦辺拓さんから、この本をいただいてしまいました。たくさんの子どもたちに読ませてあげたいミステリです。

youkijou.jpg
妖奇城の秘密
ネオ少年探偵
エンタティーン倶楽部

著者: 芦辺拓 /藤田香

出版社:学習研究社
ISBN:4052020847
サイズ:全集・双書 / 207p
発行年月: 2004年 06月
本体価格:800円 (税込:840円)
解説:なし(作者によるあとがきあり)
装丁:イラスト 藤田香 装丁:辻中浩一(oeuf)・高橋未明(oeuf)
採点:4.5点

[書き出し]
 はるかに遠い外国の、何百年も前の伝説です。
 一人の若い騎士が、奥深い森を抜けて山道を登って行きました。

[帯]
 鉄拳もおすすめ!うわさの探偵小説!

[感想]
 校外学習で紅岳の青少年センターを訪れた圭・祐也・水穂の三人は、山中で道に迷い、古城にたどり着いた。だが、そこで彼らが見たのは囚われた少女と謎の怪人。三人は果敢にも救出を試みるが、怪人は絶壁から少女と共に姿を消した。しかも、翌日には城までもが廃墟であったことが判明するのだった。図書館で読んだおとぎ話『妖奇城の秘密』。その通りに進行する事件に、少年探偵団が挑む。

 古城、怪人、暗号。子どもの頃に誰もが胸をときめかせた謎いっぱいの探偵小説が帰ってきた。主人公はもちろん少年探偵団。今どきの子供らしさもも漂わせながら、素直な心と勇気、知恵をしっかりと持った子どもたちである。好感の持てる彼らに加え、ミステリファンにとって嬉しいのがフェアな伏線と本格ミステリには欠かせないトリック。絶壁からの人間消失、一夜にして廃墟となる建物、それらの魅力的な謎が論理的に説明されるだけでなく、個々トリックが物語の中で有機的に結び付き、ミステリの楽しさを満喫できる仕上がりとなっている。

 本格ミステリとしての質を持ちながら、その楽しさを子どもにも分かりやすく紹介する作品は決して多くはない。次々と起きる不思議な出来事への興味、謎を解き明かしていく推理の楽しさ、そして真相の驚きと感動。未来のミステリファンを育てるための第一歩に最適な作品である。

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本格ミステリ04

 読み終わりました。どの作品も質が高く、一冊にまとまっているのは大変お買い得ですね。感想は後で書きます。

 今日の新刊は4冊です。『銀輪の覇者』がおもしろそうですね。

珈琲相場師 デイヴィッド・リス松下祥子 ハヤカワミステリ文庫 1050円
観光旅行 デイヴィッド・イーリイ一ノ瀬直二 ハヤカワミステリ文庫 987円
聖夜は黒いドレス 新庄節美 創元推理文庫 651円
銀輪の覇者 斎藤純 早川書房 2100円

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2004.06.23

中公文庫の新刊

 『嗤う伊右衛門』は京極夏彦による「四谷怪談」で、第25回泉鏡花文学賞受賞作です。ハードカバー、ノベルス版が中央公論社、中央公論新社から出て、その後角川文庫に収められました。今回は中公文庫ですから、出版元に戻ってきたことになりますね。カバーはいつもの中公文庫とは違い、光文社文庫のようなさらっとした手触りのつや消しになっています。作品の雰囲気に合わせたのでしょうね。
 『スタバトマーテル』はハードカバーが1996年ですから、文庫化までに8年かかったということになります。

 そろそろ創元推理文庫とハヤカワ・ミステリ文庫が店頭に並ぶ頃だと思います。今日もよい本に出会えるといいですね。

スタバトマーテル 近藤史恵 中公文庫 680円
嗤う伊右衛門 京極夏彦 中公文庫 580円
日本怪談集妖怪篇 上 今野圓輔 中公文庫BIBLIO 980円
日本怪談集妖怪篇 下 今野圓輔 中公文庫BIBLIO 940円
日本妖怪変化史 江馬務 中公文庫BIBLIO 900円

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2004.06.22

昨日のアクセス増加のわけ

 昨日から今日にかけて、みすべす(本体)のアクセス数が急に増えました。ブログを始めるとこんなに反応があるのかと思ったのですが、違いました。

 その理由というのがこちら。開いたページの右下を見てください。昨日から、@niftyのホームページの端に、みすべすが出ているのです。
「今週のPick Up!Mystery Best ???みすべす  ミステリ・推理小説の楽しい世界を案内するページ。 class=dyellow>初心者はここで好みの本を捜すといいかも!(V)

 @nifty様、どうもありがとうございます。
 毎週2つのサイトを紹介しているのでしょうか。「みすべす」という平仮名だけが画像として表示されているのが何とも恥ずかしいのですが、マークや画像というものがないサイトなので仕方ないですね。今週いっぱい、紹介されているようなので、初めていらした方にもミステリの楽しさが伝わるよう、心がけたいと思います。

 というわけで、@niftyからのみなさん、みすべすは狭いようでとても広いミステリの世界を、薄く浅く紹介するサイトです。どうぞよろしくお願いします。ミステリサイトには、国内系、海外系、古書系、ライトノベル系、密室系……?と、たくさんの優れたサイトがありますので、ミステリ系更新されてますリンクみすべすリンクから、そちらをご覧になってください。きっとお気に入りのサイトが見つかると思います。

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誰でもない男の裁判

 ブログを使ってみたくて@niftyのココログに登録しています。レイアウトをいじっていたらこんなサイトができました。今のみすべすにだいぶ近くなりました。でも、今のところブログの何が便利なのかよく分かっていないのです。というよりも、基本的な技能がないために画像の入れ方やリンク、検索窓の付け方などが分かりません。うまく使えるようになったら、移行するかもしれません。

 昨日の台風の中、宅配便が届きました。同時に二つ届いたので、中を開けてみると、両方から『誰でもない男の裁判』が出てきました。二回に分けて本を注文したのですが、そのときどちらにもこの本を入れてしまったのです。本屋さんに出かけたときに、一度買った本を間違えて買ってしまうということはたまにありますが、ネット書店で同時に届くとショックがかなり大きいです。一冊は次のMYSCONのときにでもどなたかに差し上げましょうか。

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2004.06.21

読売新聞でクリスティー

 昨日の読売新聞「HONライン倶楽部」はアガサ・クリスティーの巻。作品の魅力を分かりやすくまとめていました。有栖川有栖のコラムもついて読み応え十分。書影は創元推理文庫の『アクロイド殺害事件』とクリスティー文庫の『そして誰もいなくなった』を掲載し、さり気ない気配りも感じさせます。紙面の端には筒井康隆、江戸川乱歩の作品に関する投稿を募集しているので、近いうちにまた楽しい記事が読めそうです。

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蜘蛛の微笑

kumonobisyo.jpg
蜘蛛の微笑
ハヤカワ・ミステリ文庫

著者: ティエリー・ジョンケ /平岡敦

出版社:早川書房
ISBN:4151747516
サイズ:文庫 / 174p
発行年月: 2004年 06月
本体価格:560円 (税込:588円) 
解説:平岡敦
装丁:the GARDEN 石川絢士
採点:3.5点

[書き出し]
 リシャール・ラファルグはゆっくりとした足取りで砂利道を散歩していた。屋敷の塀づたいに広がる木立を抜け、道は小さな池まで続いている。

[帯]
 男は愛人を監禁し、強盗は自慰をし、追跡者は獲物に刃を振りおろし、
 愛人はピアノを弾いて性器をさらけだし、謎と謎と謎とが絡み合う。

[感想]
「エヴ、聞こえるかい?今日は三人だ!」
 外科医リシャールは愛人エヴを監禁し、虐待する。行きずりの男たちと関係を持たせ、自分はマジックミラー越しにその行為を観察するのだ。一方、銀行を襲撃して指名手配されたアレックスは、古びた農家に潜伏していた。追われる日々にうんざりした男は、逃亡生活に終止符を打つ名案を思いつく。二つの物語の合間に「蜘蛛」なる人物に捕らえられた男の物語が挿入され、幻想的な雰囲気を醸し出す。運命の糸は絡まりながら衝撃の結末へと向かっていく。

 リシャールとエヴの異常な関係、逃亡犯アレックスの生活という二つのパートはそれぞれ単独で読めばシンプルなスリラーなのだが、これら異質な物語が「蜘蛛」の挿話によって攪乱され、読者の不安を極限まで高めていく。しかもそれらをすべて説明してしまう結末は、この謎に包まれたストーリーをなるほどと納得させる一方で、表現のしようのない読後感を残す。ハッピーエンドなのか、それともカタストロフィーなのか。やるせない気持ちの中になぜか救われたような思いもあり、強い印象が後を引く。この読後感を味わうためだけでも一読の価値はある。


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